【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER

PayPay狂騒曲とインバウンド。
スポーツ界にも電子決済の波を! 

text by

池田純

池田純Jun Ikeda

PROFILE

photograph byAFLO

posted2018/12/24 10:00

PayPay狂騒曲とインバウンド。スポーツ界にも電子決済の波を!<Number Web> photograph by AFLO

100億円キャンペーンによって一気に知名度の上がったPayPay。電子決済の覇権争いは過熱していきそうだ。

電子決済で客単価が跳ね上がった例も。

 主な理由のひとつは、いわゆるインバウンドです。日本に来る外国人観光客は、2018年は3000万人を突破し、これらのインバウンドが日本に来た際に落としていくお金というのはかなりの額になります。昨年は訪日観光客による旅行消費の総額が4兆4161億円と発表されています(観光庁・訪日外国人消費動向調査より)。

 また、こんな事例もあります。観光客が多く訪れる鎌倉のとある人気レストランでは、お客さんの中でインバウンドが占める割合はなんと約36%もあるそうです。さらに別のお店では電子決済を導入した途端、客単価が数千円ほどから、1万円くらいまで一気に上がったというのです。

 自国と同じ感覚でスマホ1つで支払いができ、現金で支払うよりも圧倒的に「お金を払う」という感覚が薄いこともあるのか、飛躍的に物を買ってくれることにつながったという声も耳にします。

日本でスポーツを観るという文化を。

 このように大きな収入源となりうるインバウンドですが、彼らが日本に来てスポーツを観るかというと、その人数はまだまだ相当少ないでしょう。

 我々日本人が海外に行った場合、シアトルに行けばセーフコフィールド(つい先日命名権の新しい契約が交わされ、2019年1月から25年間はTモバイル・パークとなります)でマリナーズの試合を観てみよう、となるし、スペイン・イギリスに行けばリーガ・エスパニョーラやプレミアリーグの試合を観てみようとなりますよね。スポーツの盛んな土地に行けば、旅行のプランの中にスポーツ観戦も選択肢の1つとして入ってきます。

 日本に来たら京都や鎌倉へ行こう、という定番コースのように、日本に来る方々にもそういった文化、選択肢が根付いていく時代も来るでしょう。

 そこでインバウンドの足をスポーツに向かせるための第一歩として、スポーツ界にもいち早く電子決済を導入すべきだ! と思うのです。スタジアムに行って、「ピッ」とスマホをかざせばそこで支払いが完了してすぐに入場できる。中にあるショップでも同じように支払いができれば、もっと手軽にお土産を買っていく人も増えるのではないでしょうか。

【次ページ】 ビッグデータをどこが握るかの分かれ目。

BACK 1 2 3 NEXT
池田純

他競技の前後の記事

ページトップ