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サッカーで米留学する日本人が増加。
文武両道はアメリカでこそ成立する。

posted2018/11/18 08:00

 
サッカーで米留学する日本人が増加。文武両道はアメリカでこそ成立する。<Number Web> photograph by University of South Florida

南フロリダ大学に留学してプレーをする高瀬和楠選手。まっすぐプロを目指す、だけではない生き方もあるのだ。

text by

及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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University of South Florida

 ここ数年、アメリカの大学にサッカー留学する日本人選手が増えている。「バスケや野球ならわかるけど、アメリカでサッカー?」と思う人も多いだろう。だが、日本でユースやジュニア代表で活躍した高校生たちがアメリカ留学を選んだのだ。

「『どの道が人として一番成長できるのか』。サッカー選手としての成長を自分の中の基盤に置きながらも、競技以外で何を得られるのかを考えました。アメリカではサッカーだけではなく、勉強をする環境も整っており、様々な人種に囲まれながら多様な価値観や文化に触れることもできます」(南フロリダ大学、高瀬和楠)

「サッカーは人生の全てではないと考えた上で、どこの大学へ行くのか、将来何になりたいのか呆然としてしまい、日本では進路が漠然としてしまったんです。そんな時、アメリカの大学の話を耳にしたんです。サッカーと勉強をする2つの環境が揃っている部分にとても魅力を感じましたね」(ルイスバーグカレッジ、草宏禎)

「日本でもサッカーと勉強の両立はできると思いますが、より高いレベルでそれを実現するにはアメリカの大学に来るのが最善の方法だと思いました。また大学スポーツの規模の大きさと、世界を知るならやはりアメリカかなと」(マサチューセッツ大学、半谷陽介)

「高校まではサッカー漬けの日々を送っていました。しかし、ふと将来のことを考えたときに、サッカーだけでは自分のためにならないと感じて。同時に、自分の人間としての幅や知識を広げたいという想いも強くあり、自然と海外を意識するようになりました。様々な国がある中でも、特にアメリカは文武両道を重んじる国であり、勉強にも必死で取り組まなければサッカーができなくなります。そういった厳しい環境で、人としても成長したいと思ったので、アメリカに行くことを決めました」(ケンタッキー大学、黒崎優香)

プロを目指すだけなら日本が近道でも。

 男子の3選手は東京のユースチーム出身。高瀬はU-16、半谷はU-16、U-19の日本代表に名を連ねたこともある。女子の黒崎は藤枝順心高校で全国大会優勝、U-16代表経験もある。

 彼らのような才能をもっていれば、サッカーでプロ、そしてより大きな国際舞台を目指すのであれば日本にとどまる方が近道だったかもしれない。だが、彼らはサッカーだけではなく勉強も、また世界中から集まる学生から多くのことを吸収したい、それがサッカー選手としての成長にもつながる、という考えを持っている。

【次ページ】 サッカーをツールにして奨学金を得る。

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