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なぜU18ジャパンは打てなかったか。
木のバット、牽制、ストライク。

posted2018/09/12 11:30

 
なぜU18ジャパンは打てなかったか。木のバット、牽制、ストライク。<Number Web> photograph by Kyodo News

金属バットから木製バットへの移行は簡単ではない。高卒の打者が投手よりも成長に時間がかかるのはその影響もあるかもしれない。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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 宮崎県で開催されていた第12回U18アジア選手権が9月10日に閉幕。大会2連覇がかかっていた日本は、グループ戦で韓国、スーパーラウンドでは台湾に、ともに1-3で敗れて決勝進出はかなわず、3位で大会を終えた。

 甲子園であれほど輝きを放っていた選手たちが、輝けない――。甲子園のようなブラスバンドの応援がないサンマリンスタジアムは、重苦しい試合展開にシーンと静まり返っていた。

 とにかく打てなかった。5日の韓国戦は5安打、7日の台湾戦はセーフティバントを含むわずか2安打。投手陣は強打の韓国を3安打に抑えるなど踏ん張っていたが、守備のミスが絡んで失点し、それを取り返す力が打線になかった。スタメンのうち6人が左打者という偏った打線に左投手をぶつけられ、打開できなかった。

 台湾戦のあと、大阪桐蔭の根尾昂はこう話していた。

「相手投手は後半、球が落ちてきたのがわかっていましたが、ヒットが出ないままぐずぐず行ってしまった。なんとか1点ずつという気持ちはあったんですが、先頭バッターがなかなか出られず、どんどん焦っていった感じがありました」

 相手投手については、ある程度の映像やデータはあるものの、今夏の甲子園で活躍した大阪桐蔭のデータ班のような担当者がいるわけではない。試合中は選手たちがお互いに打席の中で得た情報を伝え合うなどしていたが、なかなか攻略には至らなかった。

木のバット、牽制などルールも違う。

 日本の高校野球と国際大会のルールの違いも大きく影響した。U-18日本代表の永田裕治監督はもどかしそうに語った。

「木製バット、牽制(日本ではボークを取られるような牽制が認められる)、ストライクゾーン。これは日本の野球とはまったく違う。選手たちは体にしみついたものがあるので、難しい。短期間(の準備)でも対応しないといけないんですが……」

 木製バットへの対応は、毎年この時期の国際大会で課題にあがる。日本の高校では金属バットが使用されているが、国際大会では木製バットを使用する。

【次ページ】 藤原恭大が「ポイント」でもアウトに。

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