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イチローに憧れた少年がMVP候補。
ブルワーズ進撃の中心イエリッチ。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byAFLO

posted2018/09/10 08:00

イチローに憧れた少年がMVP候補。ブルワーズ進撃の中心イエリッチ。<Number Web> photograph by AFLO

今季絶好調のイエリッチ。マーリンズ時代にはイチローからの薫陶を受けた。

イチローに憧れた少年がMVP候補。

 そんな「イチローに憧れた少年」が、もしかしたら今年のナ・リーグ最優秀選手賞(MVP)になるかも知れない。

 イエリッチは今季ここまで(9月2日現在)、キャリア最高成績でナ・リーグ2位の打率.311、出塁率.379、長打率.556、27本塁打、83打点、そして16盗塁という好成績。特に後半戦は打率.356、16本塁打、40打点(前半戦は打率.292、11本塁打、43打点)と調子を上げている。首位シカゴ・カブスを追走し、ワイルドカード争いを繰り広げるブルワーズの推進力となっているのだ。

 ナ・リーグのMVP候補は東地区首位を走るアトランタ・ブレーブスのフレディー・フリーマン一塁手(打率.306、20本塁打、82打点)や、中地区首位を堅持するカブスのハビヤー・バイエス内野手(打率.299、30本塁打、100打点)が有力とされているがMVP投票では伝統的にチーム成績、つまり貢献度が加味される。

 もしブルワーズがカブスを退けてナ・リーグ中地区を逆転優勝でもしようものなら、投票者の印象も大きく変わる。それこそイエリッチや同僚のロレンゾ・ケイン外野手(打率.310、10本塁打、35打点、26盗塁)も有力候補になるのは間違いない。

投票するのは僕の仕事じゃないし。

「そういう(MVP)議論とか、投票とかをするのは、僕の仕事じゃないからなぁ」

 とイエリッチ。前夜(9月3日のカブス戦)、「サヨナラ三塁ゴロ」という珍しい結果で首位カブスに4対3でサヨナラ勝ちした殊勲者は、困ったような表情でそう話した。

「今まで敵地としてこの球場(本拠地ミラーパーク)に来るとなぜか、なかなかホームランが打てなかったんだけど、今年、マイアミに遠征した時、『ここって、こんなに広かったのか!』って分かったんだ。

 真面目な話、球場が違えば打席でのアプローチも多少、変わって来るし、(オフのトレードで)このチームに来たのは正解だったと思う」

【次ページ】 WBCで3番を任され優勝に貢献。

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