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龍谷大平安から日大三、金足農へ……。
応援のバトン、動画再生100万回!! 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph byYukiko Umetsu

posted2018/09/03 16:30

龍谷大平安から日大三、金足農へ……。応援のバトン、動画再生100万回!!<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

100回目の夏、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ金足農アルプス。

龍谷大平安からのエールを受け継いだ日大三。

 エールを送った日大三吹奏楽部顧問・細谷尚央氏に聞いたところ、このエールは、もともとは3回戦で対戦した龍谷大平安吹奏楽部が日大三にしてくれたことだったという。

 同校が接戦で制し、8強入りを決めた3回戦。試合終了後は、球場前の阪神高速道路ガード下「5号スパン」に両校吹奏楽部のバスが隣り合って待機しているのだが、すぐに出発するようスタッフに促されるため、楽器を積み込んだら即発車。両校が交流するような余裕はないのが現状だ。

 この日は、龍谷大平安のバスが先に出発。

 すると、バスが動き始めた瞬間に窓を開け、吹奏楽部員が身を乗り出して「三高がんばれー!」「三高ファイト~!!」と、日大三高吹奏楽部に大声援を送ったというのだ。

「これまでに何度も甲子園に来ていますが、こんなことは初めてでとても感動しました。今までも相手のバスに手を振るくらいはしていましたが、敗れた学校があんな風に応援してくれるなんて……。平安の皆さんの想いがとても伝わり、胸がいっぱいになりました」(細谷氏)

エールを送るうちにみんな元気になった。

 龍谷大平安吹奏楽部顧問の林晃氏は、バスの中からエールを送った時のことをこう振り返る。

「負けて生徒が泣きじゃくっていたので、『いつまでもメソメソしていないで、三高にエールを送るぞ!』と言ったところ、窓を開けて大きな声で叫び始めました。

『がんばれー!』とエールを送っているうちに、子ども達もすっかり元気になったんですよ」

 近くにいた父兄や学校関係者、また、日大三に関係のない観客たちも、初めて見る光景に驚き、涙を流していたという。

「あまりにも感動したもので、吹奏楽部の夜のミーティングで話題に出したんです。彼らがしてくれた行為は素晴らしく、大変好感が持てた。うちも平安みたいな吹奏楽部になりたいね、と生徒たちに話しました」(細谷氏)

【次ページ】 相手を思いやる気持ちがバトンになった。

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