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大谷翔平がトレードされる可能性は?
メジャーでよくある大型移籍の話。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2018/08/07 11:00

大谷翔平がトレードされる可能性は?メジャーでよくある大型移籍の話。<Number Web> photograph by Getty Images

大谷翔平はロサンゼルスで愛されている。しかし、それとトレードの可能性はメジャーではまた別の話なのだ。

トレードは選手にとってもチャンスである。

 事実、オリオールズがドジャースから獲得した5人のマイナー選手の内、4人はすでにオリオールズの「有望株」リストの上位30人に入っており、1位は今年のオールスターゲームの前座「フューチャーズゲーム(未来のオールスター)」で2本塁打を打ち、ドジャースの「有望株」リストで4位に入っていたユスニエル・ディアス外野手だ。

 メジャーリーグではこうした「戦略的トレード」が7月末のノンウェーバー・トレード期限以外にも頻繁に行われる。起こる回数に「多い」、「少ない」はあるが、シーズン開幕前、シーズン序盤、トレード期限、シーズン終盤、シーズン終了後と、いつ何時でも「戦略的トレード」が起こる環境がある。

 そして、それは選手たちに「弱小球団から移籍して優勝するチャンス」、「プレーオフを勝ち上がってワールドシリーズに出場するチャンス」、「出場機会を得て自分の実力を証明するチャンス」、「マイナーからメジャーに昇格するチャンス」を提供している。

トレードは両チームに得があるのが大事。

 ひとつ間違ってはいけないのは、それらの「戦略的トレード」は、その取引に関わった両チームに「利益」が生じることを前提としていることだ。

 低予算球団アスレチックスをモデルにした映画「マネーボール」の原作本では、あたかも敏腕ビリー・ビーンGMが他球団のGMを狡猾な交渉術で出し抜き、自分の球団だけが得をするトレードを仕掛けているように表現されているが、それは絶対に違う。

 結果的に片方のチームが損をすることはあっても、その大部分はカブスとヤンキースのように両チームに利益があることを前提としている。

 だから、「戦略的トレード」は、もっと日本のプロ野球でも起こってもいい。「最後の最後まで全力を尽くして戦います」と無言の主張をするのもいいが、それは本当に優勝を願うファンに誠実な態度だろうか。

 選手たちにとっての「チャンス」に等しく、ファンの方々にとっても「戦略的トレード」は「応援するチームが有望な若手選手を獲得するチャンス」であり、「優勝を諦めざるをえないシーズンでも、来年に向けた楽しみが増えるチャンス」になるのではないかと思う。

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大谷翔平
ロサンゼルス・エンゼルス

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