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肘靭帯損傷でDL入りした大谷翔平。
2月から指摘されていた“兆候”とは。
posted2018/06/14 11:15
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Kyodo News
まさかの早期離脱だった。
ベーブ・ルース以来とも言われる「二刀流」で全米中から注目を集めてきたエンゼルス大谷翔平が6月8日、右肘の側副靱帯(じんたい)の損傷のため、メジャー移籍後初めて故障者リスト(DL)に入った。
6日のロイヤルズ戦後、異変を訴えた大谷は遠征中のチーム本隊から離れ、ロサンゼルス市内の病院で検査を受けた結果、「グレード2」と診断された。
その際、患部の回復を促進するPRP注射を受けるなど本格的な治療を開始した一方で、現時点では復帰時期は明かされていない。もっとも、最低3週間はノースローの期間を設定されるなど、当面は「投げる、打つ」の両面で、プレーに関わる本格的な動きはできない状況となった。
危険信号はキャンプから。
今だから言うわけではない。
大谷の右肘が、遅かれ早かれ悲鳴をあげる可能性が高いとの予想は、実は、メジャー関係者の間では2月のキャンプ開始当時からささやかれていた。
もちろん、周囲の誰もが、大谷の球界の常識を覆すような「二刀流」には興味津々だった。その一方で、投手、野手の両面でアジャストする難しさと、メジャー移籍1年目での体にかなりの負担となることは、ある程度、想像できることだった。
危険信号は、春季キャンプ中から見え始めていた。
打者としての大谷は、日本ハム時代の右足を高く上げるスタイルから、開幕直前に、ノーステップの「すり足」に近いタイミングの取り方に修正し、開幕後は結果を残してきた。
もっとも、投手としての大谷は、少しばかり違った。日本の公式球よりやや大きく、滑りやすいとされるメジャーの公式球に順応しきれないまま、開幕を迎えたような気がしてならない。開幕前の最終登板となった紅白戦では、すっぽ抜ける球が多く、そこに引っかかる球が入り乱れ、終始、球筋が一定しないまま、調整を終えた。
言い換えれば、投打両面でアジャストする時間は不足していた。