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まるで黒澤映画の剣豪対決!
大谷翔平×田中将大、初対決の真実。 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byAlex Trautwig/MLB Photos via Getty Images

posted2018/05/28 13:00

まるで黒澤映画の剣豪対決!大谷翔平×田中将大、初対決の真実。<Number Web> photograph by Alex Trautwig/MLB Photos via Getty Images

背番号19の田中将大と17番の大谷翔平のメジャー初対決は、三振と四球という静かな結果に終わった。

田中の初球に、どんな意識が見られたか?

 初球は真っ直ぐではなく141キロのスプリット。力任せに真っ直ぐで入らなかったところに、田中の大谷への警戒心が象徴されていた。

 これが外角低めに外れる。

 2球目の148キロフォーシームも外角にボールとなると、3球目は外角のボールゾーンからストライクに入れてくるバックドアのスライダーが決まった。そこからボール1つを挟んでの5球目、真ん中寄りのスライダーを大谷が空振りしてフルカウント。そうして最後はスライダーがやや抜けて、結果的にはそれが逆に大谷のタイミングを外すことになって空振りの三振となった。

徹底的に分析されている打者・大谷。

 メジャーは情報戦と言われる。すでに打者・大谷は、このヤンキース戦で打席数が100を超え、配球や打球方向の基本的なデータもほぼ揃ってきている。

 ここのところの相手投手の攻略法を見ていると、外角中心の組み立てで力のあるストレートを持つ投手は高めの真っ直ぐを活用するのが大谷攻略法の定番になってきている。

 ただ、田中のようにフォーシームが140キロ後半の投手は、いかに配球を間違えずに、そのフォーシームと同じところからスプリットやスライダーを使い分けていくかが勝負になるわけだ。

「やはり簡単に抑えられるバッターではない。選球眼もいいですし、なかなか臭いところを振ってこなかったので、必死に抑えました」

 試合後のテレビのインタビューで田中がこう語ったように、どれだけボールゾーンとの境界線で勝負できるか。そういう意味ではこの日の田中は、まさに教科書通りの大谷攻略法をマウンドで示した投球内容だ。

「最初の打席に関してはしっかり見られたし、結果的には三振になりましたが、しっかり(ボールを)見られた」

 逆にいえば第1打席の大谷には、打てるボールがほぼなかったので、本人もある意味、納得の結果だったということだ。

【次ページ】 田中は“技”の投手へと変化していた。

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