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池田純が危惧するプロ野球のあり方。
「ファンサービスが模倣に溢れている」 

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池田純

池田純Jun Ikeda

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photograph byYuki Suenaga

posted2018/05/01 08:00

池田純が危惧するプロ野球のあり方。「ファンサービスが模倣に溢れている」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

4月25日に行われた皆川賢太郎氏の回。講師と受講者は対等の目線の位置で座っており、疑問があればいつでも発言できる。

「順繰り戦略」と「散弾銃戦略」。

 ビジネスを含め、すべての戦略は2種類しかないと考えています。

 1つは、「順繰り戦略」。

 ある成功例や定番となったコンテンツ・商品があり、その質を高め続けていくような手法です。

 横浜スタジアムにおけるイニング間演出や、開幕セレモニー、ギブアウェイ(帽子やユニフォームなどグッズの配布)、映像演出や、クラフトビール、グルメのような存在です。ある程度、頭がよくて論理的な考えができれば実行可能でしょう。

 もう1つが「散弾銃戦略」。

 新しいコンテンツを生む「挑戦」を同時多発的に、ひっきりなしに打ち続け、PDCA(計画→実行→評価→改善)を欠かさない。

 こちらの方が私の中では重要で、「散弾銃戦略」ができない限り本当のリーダーにはなれないと考えています。

 挑戦と成功の塩梅が難しく、10分の3程度で成功すればいいくらい。3割打てれば名打者です。

 私がベイスターズの社長だった時には、新しいグッズ、エンターテインメント、ボールパーク構想、街づくり、飲食など、幾多の挑戦をし続けてきました。その背景には当然、数多くの失敗が存在しています。そして、多くの人がワクワクするのはこちらなのです。

「プロ野球やJリーグにはサラリーマン経営者」

 今年の3月、2017年度NSBCの講師にブシロードの木谷高明氏(新日本プロレスオーナー)がいらっしゃった際、「プロ野球やJリーグには、サラリーマン経営者が向いてるかもしれないですね」というようなことをおっしゃっていました。

 これは野球、サッカーの経営者にとっては恥ずべきことだと思います。

 木谷さんは新日本プロレスに多くのワクワクする仕掛けを生み、挑戦を続けています。そんな方に「枠組みの中で、『順繰り戦略』をしていればいい業界」と思われているのだなと、私は感じました。

【次ページ】 自らの言葉で大きな夢を打ち上げないと。

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