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『サウスポー』『狙いうち』は飽きた!?
甲子園がどよめいた近江の新応援とは。 

text by

梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

PROFILE

photograph byOHMI HIGH SCHOOL WIND ORCHESTRA

posted2018/04/02 17:00

『サウスポー』『狙いうち』は飽きた!?甲子園がどよめいた近江の新応援とは。<Number Web> photograph by OHMI HIGH SCHOOL WIND ORCHESTRA

ぎっしりと近江高校の生徒と関係者で埋まったスタンド。その斬新な応援は、今大会の注目度ナンバーワンとなった。

代々受け継がれてきた応援を変えて良いのか?

 センバツでの同校の応援全体を取りまとめることになっていた応援団長の加藤さんは、代々受け継がれてきた応援を、ここまで大変革していいものか当初は悩んだという。しかしそれと同時に、「自分たちの代で野球部を変えたい」という強い気持ちもあったのだという。

「正直、野球部の中でも最初は反対の声もありました。でも、みんなで歌詞や掛け声を考えたり、練習を重ねるうちにかっこいいと思うようになり、今ではみんなとても気に入っています」

 なかでも秀逸なのが、ランナーが二塁にいる時のチャンステーマ、『Fireball』だ。アメリカのラッパー、ピットブルの曲で、ラップ部分に以下の掛け声を当てはめたのだ。

“今日の主役はどこですか 近江高校
チャンスをつかむのはどこですか 近江高校
勝負に勝つのはどこですか 近江高校
優勝するのはどこですか 近江高校”

 野球部がコールする「今日の主役はどこですか」に対し、一般客や生徒が「近江高校」と応える。いわゆる「コール&レスポンス」だ。

野球部と吹奏楽部、そして観客が一体化!

「新しいですよね(笑)。あのセンスは野球部ならではのもので、僕や吹奏楽部の子たちにはない発想。最初聞いた時は『なんだこりゃ』とズッコけましたけど、練習してみるとこれが予想以上にはまって、とてもよかった」と樋口さん。

 実際、新生応援を初めて体験する野球部の父母や一般の観客も、すぐに「近江高校!」とメガホンで叫び、即座にアルプススタンド全体が一体感で包まれた。

 学校名なので誰もが聞き取りやすく、照れずにコール出来る。

 実によく出来た掛け声だと感心してしまった。

【次ページ】 他校も、よりオリジナルティ溢れる応援を!

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樋口心
近江高校

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