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「難しいJ2」で大宮ようやく2勝目。
三門雄大の言う犠牲心は備わるか。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2018/03/29 07:30

「難しいJ2」で大宮ようやく2勝目。三門雄大の言う犠牲心は備わるか。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

大前の鮮やかなゴールなどで快勝した福岡戦。大宮はこの勝利で勢いに乗れるか。

大前のFKも「全員で獲ったゴール」。

 石井正忠監督もそのことに気が付いていたようだ。

 福岡戦前のミーティングで「お互いに助け合って、みんなのために戦おう」と伝えたという。三門自身も大前元紀やシモヴィッチ、清水慎太郎、富山貴光ら前線の選手に「前から守備に行ってくれれば後ろも連動していける。お互いにフォローし合っていこう」と話したという。簡単な意識づけだが、それ1つで変化が表れるのがサッカーの面白いところである。

 大宮は三門の言葉を胸に、一体感を見せた。

 シモヴィッチが先制し、後半7分には大前がFKから見事なゴールを挙げたが、「チームみんなが相手GKからボールを隠してくれたりした。チーム全員で獲ったゴールです」とチームメートの働きを強調した。

 大宮が2-0として以降、福岡は鈴木惇と城後寿にボールを集めて攻勢に出た。すると大前とシモヴィッチはその2人にプレッシャーをかけた。また相手がロングボールを蹴ってきた際には、大前らはセカンドボールを拾おうとし、カウンターを狙った。前線からの守備が効くとともに、三門たちも連動し、体を張った守備を見せた。

サポーターはゴールを見たいと思うけど。

「前の選手がボールを追ってくれたので、僕ら中盤も体を張った。コッシ―(山越康平)とかが少しでもラクにボールが取れればいいな、と思っていました。やっぱり体を張っていたら僕たちの方にボールがこぼれる回数が多かった。

 元紀の2点目のようにゴールを決めた選手に感謝したいですけど、その前につないだり、おとりの動きをしてくれた選手がいたからこそ生まれた、みんなゴールだと思うんです。攻守に犠牲心を持ちながらやれば、もっと強く、いいチームになれるんじゃないかなと思います」

 後半40分以降は福岡の反撃を浴び、PKから失点した。しかし、選手全員が粘りに粘って、それ以上の失点を許さなかった。

「サポーターはゴールを見たいと思いますが、チームが必死で守っている姿を見て、後押ししてくれたと思いますし、勝っても負けても一緒になって応援してくれる人たちのためにも、チームのために戦うんだという部分は出していかないといけない。それが今日の試合はあったと思います」

【次ページ】 J2という「難しいリーグ」で勝ち抜く。

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