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山中慎介の見たことがない練習風景。
「あの負け方ではやめられない」

posted2018/02/28 08:00

 
山中慎介の見たことがない練習風景。「あの負け方ではやめられない」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

山中慎介の「神の左」は、ネリに距離をつぶされて本領を発揮できなかった。今回はどんな対策を組んでくるか。

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Hiroaki Yamaguchi

 前WBC世界バンタム級チャンピオンの山中慎介(帝拳)が3月1日、両国国技館で、王者ルイス・ネリ(メキシコ)とのリマッチに臨む。

 両者は昨年8月に対戦し、ネリが4回TKO勝ち。山中が王手をかけていた日本タイ記録V13を阻んだ。35歳になった山中は上り坂にある23歳の王者にリベンジすることができるのか。直前情報を踏まえて試合の行方を占った。

「あの負け方ではやめられない」

 屈辱の敗北から半年、山中が自らのプライドとベルトを取り戻すため、再びリングに上がる。

「あの負け方」とは、ネリの連打にさらされてのタオル投入によるTKO負けのこと。タオル投入の是非はさておき、山中本人はあのシーンでダメージを感じておらず「まだまだこれからが勝負」という気持ちだったのである。

これまでみたことのない練習風景。

 この1カ月間で山中のスパーリングを見ることができたのは、公開練習も含めて3度あった。山中が意識して取り組んでいたのが接近戦だ。近い距離で低い姿勢を保ち、左のボディブロー、アッパーといったショートパンチを打ち込むパターンを繰り返していた。過去のスパーリングでは、目にしたことのない光景だった。

 言うまでもなく、山中の必勝パターンは足を使い、距離を取って伝家の宝刀たる左ストレートでKOするというもの。今回は本来のスタイルを捨てて接近戦に活路を見出すのか? そんなわけがない。山中は練習の狙いを次のように語る。

「距離が近くなる場面は必ずある。近づいても余裕があるところを出せば、相手にも必ず伝わると思う」

【次ページ】 足でリスクを回避することが何より重要。

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