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オウケンムーンはダービーを目指す。
父は菊花賞馬、鞍上は北村宏司。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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posted2018/02/21 07:30

オウケンムーンはダービーを目指す。父は菊花賞馬、鞍上は北村宏司。<Number Web> photograph by Photostud

共同通信杯を6番人気から勝利したオウケンムーン。北村宏司にとってもダービーは悔しい思いが募るレースだけに、期すものは大きいだろう。

見た目は変化ないのに、マイナス10kg。

 その結果、今年1月に出た500万条件戦(中山芝2000m)を快勝。勇躍、共同通信杯へ向かった。

「見た目には大きく変わっていなかったので前走比マイナス10kg(458kg)という数字を聞いた時は『え?!』と思いました。勝ち負けに関しては半信半疑。負け知らずのグレイルら、相手も揃っていたし、調教では未勝利馬に遅れていましたからね……」

 ところがいざ本番を迎えると、圧巻の走りを披露した。好スタートから好位で流れに乗り、直線、外へ出されるとグイグイと加速。最後は楽々と抜け出し、危な気なく重賞初制覇を飾ってみせた。これには国枝も驚かされたという。

「思った以上に強かったですね。結局こちらの考えている以上に走れる馬ということでしょう」

新馬戦、北村の期待度は高くなかった。

 その国枝とのコンビで大仕事をしたいと語るのが北村宏司だ。

 オウケンムーンにはデビューから4戦、全てで手綱をとってきた。

「デビュー前から調教で乗っています。最初の印象は首が高いし、背中も芯が通っていない感じでした」

 おそらく新馬戦では、あまり大きな期待を持たずに臨んだのではないか? と感じられる発言だ。昨年8月、その新馬戦(新潟、芝1800m)のゲートが開いても、まだ北村の同馬に対する印象は大きく変わらなかった。

「スタートがスッと決まりませんでした。うながすと馬が慌ててしまうと思ったから後半に伸ばすイメージでそのまま後ろに控えました」

 この判断が良かった。直線を向くと良い意味で裏切られることになった。

「乗っていてもよく伸びていると分かるくらいの末脚を使ってくれました」

 結果は4着だったが上がりの3ハロンは33秒4。このラップに関しても次のように分析する。

「3ハロンの間、ずっと追って出た数字というわけではありません。途中から加速しての33秒台。最後は数字以上に鋭い脚を使っていたということでかなり優秀だと思えました」

 この判断に誤りはなかった。続く未勝利戦、500万条件といずれも1番人気に応えて勝利した。

「相変わらず重心は高い感じだったし、500万の時はイレ込みもあって少し馬が焦っている感じでした。それでも競馬へ行ったらよく踏ん張ってくれました」

【次ページ】 手強い相手にも、厩舎は楽観ムード。

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