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プレミア冬の移籍総額は630億円。
勝ち組はアーセナル、負け組は……。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2018/02/03 08:00

プレミア冬の移籍総額は630億円。勝ち組はアーセナル、負け組は……。<Number Web> photograph by Getty Images

オーバメヤン(左)とムヒタリアンを手に入れたアーセナル。彼らの活躍で挽回なるか。

ウォルコットはエバートン移籍直後に2試合2得点。

 他クラブでは、エバートンを率いるサム・アラーダイスが残留争いを脱するためのブースターを買い入れた。アーセナルで出場機会に飢えていたセオ・ウォルコットだ。レギュラーとなる新天地での2試合で、2ゴール1アシストの好スタートを切っている。

 残る13クラブは目標がトップ10内であれ降格回避であれ、思い通りの補強はできなかった。10位から降格圏内の18位までが勝ち点差5という状況を考えれば、10位で補強ゼロのボーンマスは、資金力がプレミア最低レベルとはいえ、危険な賭けに出たとも言える。

 18位のサウサンプトンがCBを補充しなかったのは、元々の駒数が多かったからだろう。ハムストリングの怪我も癒え、スタメン復帰を狙う吉田麻也にとっても好都合だ。変わりに、モナコのギド・カリージョをクラブ最高の1920万ポンド(約29億円)で獲得した。

 2部のプレストンで2ケタ得点を挙げているが、ウェストハムがジョーダン・ハギル獲得に払ったとされる、推定1000万ポンド(約15億円)の移籍金にはパニック臭すら漂う。

 ラファエル・ベニテス監督が「プレミア級を数名」と希望していたニューカッスルは、レスターからレンタルで獲得したイスラム・スリマニが、辛うじて指揮官の期待に近いレベル。降格回避よりも、ベニテスが今季限りで去る確率が高まったようなものだ。

マフレズはレスター残留で3日連続で練習無断欠席。

 レスターの岡崎慎司にとっては、スリマニの放出は競争相手が1人減る朗報と言えるかもしれない。だが、チームにとって最大の朗報となるべきマフレズ残留が、レスターの強みである一体感に悪影響を及ぼしかねない。

 昨夏に続いて移籍志願が叶わなかった技巧派ウィンガーは、移籍市場閉幕翌日から3日連続の練習無断欠席。不協和音が強まり続ければ、トップ6との距離よりも、10位以下との距離が気になる後半戦となりかねない。

 そのマフレズは、今夏に再びシティが獲得を試みると予想される。他のビッグ6メンバーも、ユナイテッドはダビド・デヘア、チェルシーはエデン・アザール、トッテナムはハリー・ケインをレアル・マドリーに狙われている模様だが、防戦一方ではない。

 今季トップ4争いと残留争いの行方は予断を許さないが、1月の市場としては過去最大規模の移籍金が動いた今冬を経て、より盛況な夏の移籍市場がプレミアに訪れることは間違いなさそうだ。

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