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埼玉・花咲徳栄の野村佑希は化物か。
高校野球ミレニアム世代にまた1人。
posted2017/05/11 17:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Asahi Shimbun
今年の高校2年生は2000年生まれで、なおかつ逸材揃いということもあり“スーパーミレニアム世代”と言われている。
今年のセンバツ大会では山下航汰(健大高崎・一塁手)、野村大樹(早稲田実・三塁手)、成瀬和人(静岡・外野手)、小園海斗(報徳学園・遊撃手)、さらに優勝校・大阪桐蔭の藤原恭大(外野手)、根尾昂(遊撃手&投手)、山田健太(三塁手)が印象に残るプレーをして、「逸材揃い」が看板だけでないことを証明した。
そして、このスーパーミレニアム世代に加わる選手が埼玉にもいる。
4月27日は大宮公園野球場で埼玉大会2回戦が3試合行われていた。3試合目の草加対花咲徳栄を途中で切り上げ、18時開始の東京大会決勝、早稲田実対日大三を見る予定だったが、花咲徳栄の4番・野村佑希(右投右打)を見て、途中で席を立つことができなくなってしまった。打つ形がよくて結果が最高というのが最も高い評価を得られる選手だが、野村はこの2つの要素を持ち合わせていた。
上から叩いて、ボールの下にバットを潜り込ませる。
第1打席では体を開かずしっかり上から叩いて三塁線を破る二塁打、第2打席は内角低めのストレートをやはり上から叩いて左中間スタンドに放り込んでいる。「上から叩く」というと薪割りのような形を想像される人がいるが、15度くらいの角度でバットを振り出し、バットをボールの下に潜り込ませるというのが野村の最大の特徴である。
第3打席でも真ん中低めのストレートを捉えて両翼99mのレフトフェンスを直撃する二塁打を放ち、この日は4打数3安打4打点の大当たり。
こういうバッティングを見せられたらしばらく追いかけたくなるのが高校野球ファンの性(さが)だ。
3回戦の大宮東戦では第1打席、低めストレートを捉えてセンターバックスクリーンに逆転の3ランを放ち、第2打席では走者を二塁に置いてストレートを逆方向におっつけ、セカンドのグラブをはじいてライト前に持っていくタイムリー。1死満塁の第3打席では逆風をついてライトに犠牲フライを放ち、この日は3打数2安打5打点と、もはやマルチ安打&打点が常態化して特別なことのように書く気にもならない。