野球善哉BACK NUMBER
ローテ以上、エース未満のジレンマ。
菊池雄星に必要な「勝負所の100%」。
posted2017/04/20 07:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
やはり、この男が歩む階段はワンステップずつのようだ。
西武の開幕投手を2年連続して務め、辻発彦新監督に「エース」に指名された菊池雄星のことである。
開幕から3試合に先発し、1勝1敗。防御率2.14。すべての試合で7回を投げ切り、同時に6回3自責点以内のクオリティスタートも100%を達成している。1人の先発投手として考えたならば申し分ない成績で、プロ入り初の2ケタ勝利を挙げた翌年の滑り出しは上々といえるだろう。
しかし厳しい言い方をすれば、あくまで「先発投手」としてだ。
「エース」として考えるのならば、やや不満が残る。
開幕戦の日本ハム戦は自責点1でしっかりとゲームを作り、勝利に導いた。点差が開いたこともあって7回で退いたが、エースとしての姿を見せた。しかし2戦目の4月7日のソフトバンク戦は相手エースの和田毅に投げ負け、14日のロッテ戦では、7回2失点で勝敗こそつかなかったものの、ビハインドのままマウンドを降りている。
「エースとは」を考えている菊池に足りないもの。
「毎試合“エースとは”ということを、考えるようになりました」
菊池は登板した3試合を、こう話して振り返った。
エースであれば、どのような状況でも勝たなければいけない。では、マウンド上ではどのような佇まいでいなければいけないのか――。
2ケタ勝利を挙げたのはまだ1回だけの投手として見るなら、やや高いハードルかもしれないが、菊池は6球団が競合してドラフト1位で入団した選手である。それを踏まえればそろそろエースになって欲しいという期待があって当然だろう。その中で2、3戦目では何が足りなかったのか。