リオ五輪PRESSBACK NUMBER
竹下佳江が語る五輪バレーの敗因。
またプレーしたくは、「なりません」。
posted2016/09/08 11:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
JMPA
8月に開催されたリオデジャネイロ五輪で、バレーボール女子日本代表は5位タイに終わった。予選ラウンドは2勝3敗の4位で辛くも準々決勝に進出したが、準々決勝ではアメリカにセットカウント0-3で敗れた。
予選ラウンド初戦の韓国戦は、第1セットを奪い幸先のいいスタートを切ったが、その後3セットを連取され逆転負けを喫した。その後、カメルーン、アルゼンチンには勝利したが、世界トップレベルのブラジル、ロシア、アメリカからは1セットも奪えなかった。
4年前のロンドン五輪で日本は、28年ぶりのメダルである銅メダルを獲得したが、この4年で再び世界との差は開いた。その要因はどこにあったのか。
アテネ、北京、ロンドンと3大会続けて五輪で司令塔を務め、今年、ヴィクトリーナ姫路の監督に就任した竹下佳江さんに、リオ五輪の日本の戦いを振り返ってもらった。
チームが成熟するための時間が足りなかった。
大会を通して竹下さんが感じていたのは、「チームとして成熟していない」ということだった。
「ロンドン五輪までは、私自身、代表で10年以上やっていましたし、他にもベテランの佐野優子や大友愛がいたり、木村沙織、荒木絵里香など、みんなで長い年月をかけて作り上げていたということが大きかった。でもその後、ベテランがごっそりいなくなって、今回は経験の浅い選手が多く出場していました。
スパイカーにとっては、4年間を通してセッターが固定されなかったことは苦しかったんじゃないでしょうか。やはりセッターを固定することによって、チームはどっしりすると思うので。それはリベロも同じことが言えると思います。
ロンドン後にベテランが抜けて、沙織がキャプテンになりましたが、彼女が背負うものはものすごく大きかったんだろうなと感じます。沙織がいたからこそ若手に伝わったものがたくさんあったと思う。彼女がもがいていた姿も若い選手は見てきたはず。プレー的にも精神的にも苦しんで、でもそれを表に出さずに、チームワークを大事にしようとコミュニケーションを取りながら、必死に頑張ってきた。それを見ていた若い子たちが、どう感じて、今後、チームにどう貢献していくのかなというところは楽しみです。
今年チームが集合した時にも選手たちに、『仲良しなだけでは絶対に勝てないので、戦う集団に変わっていかなきゃいけない』という話をさせてもらったのですが、その点でもどう変わっていくのかなと注目したいですね。
ただ、古賀紗理那はメンバーに入れてほしかったな、という思いはあります。コンディションや数字が上がらなかったからというのはあると思いますが、あの子は(五輪で)やってくれるような気がしていたので。できれば紗理那にも経験してほしかった。それが先につながったでしょうし、彼女にとって大きなものになったんじゃないのかなと思います」