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現役王者との競演は見られるか!?
“最速”ストーナーがドゥカティへ。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2015/12/07 10:40

現役王者との競演は見られるか!?“最速”ストーナーがドゥカティへ。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

ドゥカティに移籍して1年目の2007年、日本GPで初タイトルを決めた。このレースの6位がシーズンで最低の成績という安定ぶりだった。

ロッシ獲得の際の確執も消え。

 ドゥカティは'11年にストーナーを放出。代わってロッシを獲得して大きな話題になったが、'11年、'12年は未勝利に終わった。

 '13年にはロッシがヤマハに復帰したことで、ドゥカティはベテランで開発能力が高いと言われるドビツィオーゾを獲得して再出発を図った。さらに、アプリリアで数多くのタイトルを獲得してきた凄腕のジジ・ダッリーニャをゼネラルディレクターに招き、体制を一新。

 '13年以降、優勝のないメーカーに対してハンディキャップを与えるMotoGPクラスの特別ルールも追い風となり、優勝まであと一歩に迫った。

 そして今年は、若手成長株のイアンノーネを加えてチーム力を上げることに成功したが、依然として未勝利のまま。

 そこで、大きなステップを刻むための切り札として、ストーナーの獲得に動いた。

 ストーナーはマルケスの'13年、'14年のタイトル獲得に大きく貢献するなど、ホンダのテストライダーとしても高い評価を得た。

 3年ぶりの実戦となった今年の8耐では、8年間モデルチェンジされていないホンダCBR1000RRで、最新型のヤマハYZF-R1に乗るGPライダーたちと遜色ないタイムをマークして周囲を驚かせている。

 振り返ればストーナーがホンダに移籍した際には、ドゥカティがロッシを獲得するため、ロッシと確執のあるストーナーを移籍するように仕向けたと言われている。

 そのロッシが古巣のヤマハに戻って3年が経ち、首脳陣の顔ぶれも当時とは大きく変わったことで、ストーナーを復帰させようという機運が盛り上がったことは間違いない。

ストーナーがもたらす情報が開発の指針に。

 ドゥカティはストーナーの獲得で大きな成果を期待している。

 まず、ドゥカティとホンダとの違いを知り、そこにある差違を知ることが次の開発の大きな指針となる。

 技術者に聞くと、ライダーが移籍してもマシン作りのノウハウが漏れる心配はないのだそうだ。

 しかし、チャンピオン争いをする現役ライダーと遜色のないスピードを持つストーナーがもたらす情報は、ホンダとヤマハに追いつけ追い越せのドゥカティにとっては計り知れないメリットがあるはず。来季のドゥカティの進化に、大きな注目が集まることは間違いない。

【次ページ】 スポット参戦で4人の王者たちとの戦いも。

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