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ようやく動き出した「試合時間短縮」。
ファンのために、試合にスピード感を。

posted2015/03/27 10:30

 
ようやく動き出した「試合時間短縮」。ファンのために、試合にスピード感を。<Number Web> photograph by Kyodo News

熊崎勝彦氏は検察官、弁護士などを経て2014年に日本野球機構の第13代コミッショナーに就任した。東京五輪を前に、重要な時期を任された手腕に期待したい。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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「ナショナル・パスタイム」(国民的娯楽)という言葉に時間にこだわらない「ひま潰し」的な意味も込められてきたアメリカでも、試合時間の長い野球が「退屈」と言われ出しているのは、軽視できない状態となっている。

 米4大プロスポーツと言われる野球、フットボール、バスケット、アイスホッケーのなかで、時間制競技でないのは野球だけだ。しかも時間制の他競技がさらなるタイトでスピーディーな試合を目指して余分な時間の短縮に必死に取り組んでいるのに対して「ナショナル・パスタイム」は、やはり鷹揚だったというしかない。

 さらに近年は、そうした時代の流れに逆行するように、野球の試合時間はどんどん伸びている。昨年の平均試合時間は過去最長でついに3時間を超えて3時間2分となり、今年就任したロブ・マンフレッド新コミッショナーは、就任と同時にこの試合時間短縮を最初の仕事として宣言したわけである。

 すでにMLBでは、バド・セリグ前コミッショナー時代から試合のスピード化に向けて様々な方策を練り、昨年はマイナーでテストするなど具体策を練ってきた。そうして今年の2月に新ルールを発表。開幕から1カ月間の慣らし期間を経て、5月からは罰則規定も含めて正式に運用を開始するのである。

打者は必ず打席に片足を止めるという新ルール。

 今回のルール改正で話題となっているのが、打者はファウルや暴投などの一部例外を除いて、必ず片足を打席に止めるというものだ。これに反したら、500ドルの罰金が定められている。

 もともと野球規則では、打者は勝手に打席を外せないことになっている。しかしボストン・レッドソックスのスラッガー、デビッド・オルティス内野手のように、ほぼ1球毎に打席を外して、自分のタイミングで投手に対する打者が多いのも現実である。

「投手が次に何を投げてくるか、考えをまとめてから打席に入る。それがダメだとリズムが狂うし、これでは罰金で金がなくなってしまう」

 新ルールが発表されるとオルティスはこうぼやいた。またマイアミ・マーリンズに移籍したイチロー外野手も、オープン戦で戸惑いを明らかにしていた。それでもリーグの決定事項は最優先で、文句を言っているヒマはない。選手は慣れるしかないのである。

【次ページ】 日本でも2009年に「15秒ルール」騒動があった。

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