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ホッジスと野球の殿堂。
~ミラクル・メッツを率いた男~ 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2014/12/13 10:40

ホッジスと野球の殿堂。~ミラクル・メッツを率いた男~<Number Web> photograph by Getty Images

ドジャース時代のギル・ホッジス。現役通算で打率は.273、1921安打、370本塁打だった。1969年には監督としてメッツを率いてワールドシリーズを制し、一躍「時の人」となった。

 ギル・ホッジスが、またもや野球の殿堂入りを逃した。もう遅いかなとは思っていたが、そんなに早く忘れられてよいものだろうか。

 ご承知のとおり、クーパースタウンへの道は2通りある。ひとつは、BBWAA(全米野球記者協会)の投票による入所。もうひとつは年代別委員会の投票による入所。年代別委員会は、かつてヴェテランズ・コミッティと呼ばれていた団体が変化したものだ。この団体は2010年、つぎのように3分割された。

(1) リーグ乱立時代(1876~1946)を対象とする委員会。
(2) 野球黄金時代(1947~1972)を対象とする委員会。
(3) リーグ拡張時代(1973~現在)を対象とする委員会。

 3つの委員会は、持ち回りで殿堂入りの選考に当たる。2011年には(2)のなかからロン・サント(三塁手)が選出された。'12年には(1)のグループから、ハンク・オデイ(審判)、ジェイコブ・ルパート(球団社長)、ディーコン・ホワイト(捕手)の3名が選ばれた。そして昨'13年には、(3)のなかからボビー・コックス、トニー・ラルーサ、ジョー・トーリの3監督が選出されている。

ホッジスの活躍は忘れられてしまったのか。

 で、2014年の対象は(2)のグループだった。候補に挙がったのは、ディック・アレン(三塁手)、トニー・オリバ(外野手)、ジム・カート(投手)、モーリー・ウィルス(遊撃手、三塁手)、ミニー・ミノーソ(外野手)といった人たち。いずれも当該期間に活躍した渋い選手だ。BBWAAの投票による入所資格こそ失ってしまったものの、年代別委員会の投票で復活する可能性は十分にあった。そのためには、選考委員16名のうち12名(75%以上)の得票が必要となる。

 結果からいうと、該当者はゼロだった。アレンとオリバが11票を得てあと一歩のところまで迫っているが、ギル・ホッジス、ルイ・ティアン、ビリー・ピアスは3票以下(委員会は詳細を発表しない)だったと聞くと、私などはちょっとがっかりしてしまう。

 ちなみに、選考委員にはジム・バニング、ロッド・カルー、アル・ケイライン、ジョー・モーガンなどけっこう信の置ける顔ぶれがそろっている。そんな彼らでさえも、'50年代に活躍したホッジスやピアスの存在を忘れかけているのだろうか。

【次ページ】 ホッジスにこだわる、個人的な記憶。

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