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4度の王座争いで磨かれた、ハミルトンの「勝負哲学」。
~アメリカGPで見せた7つの勝負勘~ 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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posted2014/11/19 10:00

4度の王座争いで磨かれた、ハミルトンの「勝負哲学」。~アメリカGPで見せた7つの勝負勘~<Number Web> photograph by Getty Images

アメリカGPで2位のライバル、ロズベルグの前で喜ぶハミルトンは、2度目の王座を狙う。

 デビュー8年目のハミルトンにとってタイトル争いは4度目。決戦の場は最終戦アブダビGP、相手は同じメルセデスのロズベルグに絞りこまれた。

 過去3回とも最終戦で王座を争っている。首位で臨んだ'07年はマシン・トラブルで1点差に泣き、'08年には最終周の最終コーナーで5位に浮上し、1点差で初戴冠。そして'10年、稀に見る4人対決に挑むも敗れた。今回の相手、ロズベルグは初のタイトル争い。今季中盤までロズベルグに差をつけられ、終盤に首位を奪還したハミルトンは、こう言い続けてきた。

「最終戦アブダビGPのファイナルラップを終えるまでの戦いだ」

 熾烈な争いを経験し、彼の「勝負哲学」は磨かれた。アメリカGPのフリー走行では他を寄せつけなかったが、予選でブレーキの感触に悩みPPをロズベルグに奪われた。突っ込み重視の走りを再考し、マシン・セットアップを再確認。エンジニアのアドバイスも受け入れた。

 オースティンのコースは平原地帯で風が強く吹きつける。スタンドとピットビルに挟まれたメインストレートは“吹き溜まり”のようになり、偶数グリッドには埃がたまる。そのため2位のハミルトンは、普段よりエンジン回転を低めにスタートしてホイールスピンを抑えた。マシンをPPに対し右斜めに止めたのも牽制効果を狙ってのこと。2列目のウイリアムズ勢に抜かれず1コーナーを2番手で入ればいい、レースはそこからだ。

完成の域に達したドライビングで自身初の5連勝。

 勝負のポイントは7つ。

(1)最初のピットインまで1秒以内で追尾し圧力をかける。
(2)ミディアムに交換後は一度2.5秒ほど後に下がり、追撃姿勢を隠した。
(3)その数周後に急激にペースアップして、DRS(増速装置)が使用可能になるコンマ数秒内に追い上げる。
(4)バックストレートで右から抜くフェイントをかけ、コーナー左側のインへ飛び込む。
(5)並んだ瞬間に右へ寄せ、出口で相手が加速するのを遅らせる。
(6)トップに出ると自己ベストタイムで逃げ、抜かれたショックを与え続けた。
(7)残り10周、ロズベルグが最後の反撃に出るや、さらにラップタイムを上げて、追撃を断ち切る――。

 初めての5連勝(史上7人目)で今季10勝目。まさに完成の域に達したハミルトンが、英国人ドライバーとして43年ぶりの2冠を最終戦で目指す。

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