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凱旋門賞惨敗の理由は本当に臨戦過程なのか。
~日本馬の“ぶっつけ”を考える~ 

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph byHideharu Suga

posted2014/10/27 10:10

凱旋門賞惨敗の理由は本当に臨戦過程なのか。~日本馬の“ぶっつけ”を考える~<Number Web> photograph by Hideharu Suga

最後の直線で外から迫ったものの6着に終わったハープスター。

 10月5日、仏・ロンシャン競馬場で行なわれた凱旋門賞に、今年は史上初めて3頭もの日本馬が出走した。

 しかし、結果はハープスターの6着が最高。ジャスタウェイとゴールドシップは8、14着に敗れた。惨敗と言われても仕方のない結果に、レース翌日の欧州の競馬専門紙には敗因を指摘した辛辣な記事が並んだ。とくに批判の的になっていたのが各馬の臨戦過程。ハープスターとゴールドシップは8月に札幌記念を使ってから、ジャスタウェイに至っては6月の安田記念以来の実戦というスケジュールに疑問の声が寄せられた。

 かく言う私もそのあたりを懐疑的に思っていた。昨年まで凱旋門賞に挑戦した日本馬は、のべ16頭。最高着順の2着が4回('99年エルコンドルパサー、'10年ナカヤマフェスタ、'12、'13年のオルフェーヴル)あるが、この全てに共通しているのは本番と同じ舞台であるロンシャンの2400mを前哨戦として使っていたこと。同じコースを走れば必ず有利になるというわけではないが、ディープインパクトやタップダンスシチーといった名馬が前哨戦を使わずに挑んで、連にも絡めなかった事実は偶然ではないと思えたのだ。

 実際、現地で前哨戦を走れば本番への対策や新たな課題を見つけられただろうし、当日のロンシャンでの流れを騎手や関係者も経験できたはずだ。だから今年の各馬の臨戦過程を聞いた時、苦戦必至になることが予測され、生で観戦した際にも「やっぱりな……」と妙に納得した。

トレヴの調教師が絶賛したハープスターの末脚。

 しかし、少し時間を経てレースを見直すと「本当に臨戦過程が敗因だったのか?」という気もする。

 気性面の難しいゴールドシップこそ競馬にならなかったが、ハープスターの末脚は、勝ったトレヴの調教師であるマダム・C・ヘッドマアレクをして「凄い切れ!!」と感心させていたし、ジャスタウェイも内で詰まり気味になり立て直す形になったわりには最後にまた伸びていた。どちらももう少し運が向けばもっと良い競馬になったはずで、そこまでの競馬が出来たのはしっかり仕上がっていたからだろう。

【次ページ】 “仕上げ”という点では、日本はすでに世界一?

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