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苦難を乗り越えたルドゴレツは東欧の希望の星となるか?
~ブルガリアの王者、CLで躍進を~ 

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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posted2014/10/22 10:00

苦難を乗り越えたルドゴレツは東欧の希望の星となるか?~ブルガリアの王者、CLで躍進を~<Number Web> photograph by Getty Images

 東欧の小国が一丸となって応援しているクラブがある。今季のUEFAチャンピオンズリーグに出場している、ブルガリアのルドゴレツ・ラズグラドだ。

 6000人収容のホームスタジアム、ルドゴレツ・アレナはUEFA基準に達しておらず、試合は首都ソフィアで開催しなければならない。ホームタウンのラズグラドはソフィアからは400kmも離れており、人口はわずか3万5000人と、集客には不利な条件が揃っていた。

 しかしCLレアル・マドリー戦は発売から数日で売り切れるなど盛況に。相手がスター揃いの人気クラブだったこともあるが、昨季のヨーロッパリーグでも満員の試合は続いており、自クラブだけでなく他クラブのサポーターまでが駆けつける不思議な現象が起きている。

 国内で人気が高まった理由は、このクラブが辿った苦難の道のりと、他クラブとは一線を画す魅力的なサッカーにある。

'00年には破産も、革新的メソッドで国内リーグ3連覇。

 ルドゴレツの創立は1945年だが、2000年に経営難で破産。元選手らが中心となり若手育成の目的で再スタートした。その後、富豪キリル・ドムスチェフ会長が投資を始めてから国内で階段を上がっていく。

 2011年には1部に昇格し、現在は国内3連覇中だ。一時は倒れた田舎町の小クラブが強豪のCSKAソフィアやレフスキ・ソフィアらを破る姿は、多くのファンの心を捉えた。

 彼らが見せるモダンなサッカーも、ブルガリア人の心をつかんだ。ドムスチェフ会長はスペインサッカーの崇拝者で、育成に定評のあるビジャレアルで指導をしていたセルヒオ・マルティを引き抜きフィジカルコーチに就任させた。マルティは走り込みやシンプルなシュート練習など古風な練習から、ボールを組み込んだスペイン流のモダンなスタイルに抜本的に変えている。対戦相手のスカウティングや、タブレットでの試合中のリアルタイム分析も行なうなど、革新的なメソッドで後進的とされたブルガリアサッカー界に新しい風を呼び込んでいる。

「CLに出続けるチームになる」と語るドムスチェフ会長。国全体の後押しと、スペインサッカーのエッセンスが注入されたルドゴレツは、西側に追いつくことを夢見る東欧サッカーのひとつのモデルケースになるかもしれない。

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