リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
リーガを飛び交った659億円の移籍金。
バルサ、レアルの世界戦略と“面子”。
posted2014/09/04 10:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
夏の移籍期間が終わった。
今年リーガのクラブが補強に費やした総額は、史上最高を記録した'07年夏に次ぐ4億7900万ユーロ(約659億円)。クラブ別に見ると、最も豪勢だったのは昨年の倍以上にあたる1億5700万ユーロ(約216億円)を使ったバルサで、次は1億2000万ユーロ(約165億円)のレアル・マドリー。3番目は昨季の優勝で気が大きくなったのか、去年の3600万ユーロの3倍以上の1億1100万ユーロ(約153億円)をかけて11人を獲得したアトレティコだった。
一方で、移籍金が発生しない選手を探し、ローンを活用し、コストゼロで補強を行なったクラブも4つあった。昇格組のエイバル、デポルティーボ、コルドバとラージョ・バジェカーノである。補強費は当然ながら年間予算に比例するので、仕方のないことだ。
ところで、その年間予算の差はこれまた当然ながら収入の差であり、クラブの収入差は、リーガの場合、一般的にテレビ放映権料の差から生まれるとされている。スペインの現行法ではクラブが個別にテレビ局と交渉することが許されているため、視聴率が稼げるバルサやマドリーには最低クラスのラージョなどと比べ約10倍、アトレティコと比べても4倍近い金額がオファーされるからである。
バルサの公式サイトは言語ごとに内容が違う。
しかも、実際の格差はそれだけではない。拡大主義をとる両者は現状に胡座をかいたりせず、いま以上の収入を得るべく積極的に動いている。キーワードはグローバリゼーションだ。
もっともバルサの場合、正確なコンセプトは“グローカル”。
「世界を念頭に置いて考え、地域のために行動します」とクラブのニューテクノロジー部の責任者ディダク・リーはスペインの新聞で語っている。9言語分ある公式ウェブサイトのコンテンツが必ずしも同じでないのはそのためであり、地域の文化・習慣を公式サイト上で尊重することによって「SNSのフォロワー数に影響が現れる」とリーはいう。