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Kリーグを足がかりに欧州へ──。
新潮流をうみだす2人の元Jリーガー。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images
posted2013/12/05 10:30
ACLの広州恒大戦、先制ゴール直後のエスクデロ。試合前には「日本の4チーム特に直接負けた浦和と柏の分まで絶対勝ちます! あと日本人として戦います!忘れないでくたざい!」とツイートしていた。
新たな日本人プレーヤーの移籍先となりうるだろうか?
先週末、Jリーグより一足先に全日程を終え、浦項スティーラースが劇的な逆転優勝を遂げたKリーグ。近年のアジアチャンピオンズリーグ(以下、ACL)で5大会連続ファイナリストを輩出し、うち3度の優勝を果たした舞台で、日本人選手が新たな潮流を生み出している。
主人公は蔚山の増田誓志(元鹿島)とソウルのエスクデロ・セルヒオ(元浦和)だ。増田はチームがKリーグの最終節のロスタイムで相手にゴールを許し優勝こそ逃したが、首位を走ったチームにあって全38試合中35試合出場4ゴールを記録。「日本人選手が優勝戦線に加わるチームでプレーしているのは歴史的なこと」(現地サッカー専門誌「ベストイレブン」記者)といった高評価を得た。
ソウルのエスクデロは左MFなどで活躍し、34試合出場7ゴール。シーズンのクライマックスは10月26日のACL決勝第1レグだった。5万5000人の観客が集まるホームゲームで超豪華メンバーの広州恒大(中国)に対し先制点を決めた。相手のマルチェロ・リッピをして「彼がアジアナンバーワン」と言わしめたほどだ。
“都落ち”の先入観を払拭した両者の活躍。
日本人プレーヤーが韓国に渡る。
過去、ここには消極的選択といったイメージがつきまとった。日本国内のクラブで自身の望む契約が得られなかった選手の行き場。
'01年の海本幸治郎(G大阪→城南)、'03年の前園真聖(東京V→安養/現ソウル、仁川)、'10年の高原直泰(浦和→水原)、'11年の馬場憂太(東京V→ドイツクラブ→大田)、'12年の島田裕介(徳島→江原)らはいずれも日本での契約が成立しなかったがための移籍だった。'09年の大橋正博(川崎F→江原→水戸→江原)は川崎から契約更新の意思がないことを告げられると自らの強い意志で韓国を選んだ。積極的に決断したいっぽうで、移籍先は下位のクラブだった。
今季の増田、エスクデロの両者の活躍ぶりはそれらのイメージを払拭するに十分なものだ。