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米ツアーに挑む、松山英樹と石川遼。
成功のカギは情報の取捨選択にあり。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2013/10/24 10:30

米ツアーに挑む、松山英樹と石川遼。成功のカギは情報の取捨選択にあり。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

10月24日から始まる米PGAツアー第3戦「CIMBクラシック」でも優勝候補に挙げられている松山。

メンタル面が揺らぎ、負のスパイラルへ。

 以後、丸山は米国のグリーンに首を傾げ始め、米ツアー本格参戦を開始してからはグリーン上で悩む頻度や深さが日に日に増していった。

 悩み始めると、持ち前の研究熱心さや努力家の人柄も手伝って、悩みに拍車がかかっていった。

 ショットが良くてもパットが悪い自らのラウンドへの苛立ちは増し、「何で入らないんだ?」「どうしたら入るのか教えてほしいぐらいだ」と嘆いたり怒ったり。そうやってメンタル面に波が立てば、良かったはずのショットにも、判断能力にも悪影響を及ぼし、負のスパイラルへ陥っていった。

見失った自分を取り戻せなかった田中と谷原。

 とはいえ丸山の場合は、その悩みを自力である程度で食い止めた。だからこそ彼は3勝を挙げる成功を収めることができたのである。

 田中秀道の場合、何度も優勝争いに絡み、あと一歩というところまで奮闘していた。彼には明らかに優勝できるだけの技量や可能性があったと思う。だが、パットに深く悩み始めてからは、パターを変え、クラブを変え、キャディを変え……あれがいいと聞けば「あれ」を握り、これがいいと聞けば「これ」を採り入れる日々。そうこうしているうちに彼はパットのストロークや感触のみならず、スイングも見失い、どう打っていたかもわからなくなるほど混乱し、米ツアーを去っていった。

 谷原秀人もパットやショートゲームに深く悩んだ。生真面目でどんな努力も惜しまなかった谷原は、藁をも掴む思いで、当時の米ツアーで人気だったショートゲーム専門コーチのレッスンを受けようと決意した。

 だが、彼の迷いはさらに深まり、結局、彼はシーズン半ばで日本へ引き上げた。

試行錯誤をやめて混乱から脱した石川遼。

 昨季、シード落ちの危機に瀕した石川遼も情報収集や研究熱心さが逆に災いして迷った面があった。

 彼の昨季の成績低迷の根本原因は腰痛による練習不足ではあったが、技術に関する情報を得ては採り入れ、試行錯誤を繰り返しすぎたことで混乱に陥った感は強い。

 石川の場合、試行錯誤を練習のみならず試合中にやりすぎたという反省が彼自身の胸の中に芽生えているようだった。だから今季は一転して「ショットは試合中に修正しようとすると行き過ぎてしまうから」と、あえて何もしない作戦を敢行中。

 開幕第2戦は、そうやって混乱や試行錯誤を回避しようとした姿勢が功を奏しての2位だったと言えるだろう。

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