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新監督の初采配に見えた、
全日本男子バレーの変化。
~サトウ氏が求める状況判断の質~ 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2013/08/01 06:00

新監督の初采配に見えた、全日本男子バレーの変化。~サトウ氏が求める状況判断の質~<Number Web> photograph by AFLO

サトウ氏の監督就任から、はや5カ月。世界ランク19位のチームには課題が山積の状態だ。

 全日本初の外国人指揮官となった男子バレーのゲーリー・サトウ新監督が、ワールドリーグで初采配を振るった。世界ランキング19位の日本を含むランキング下位の6チームで構成されたプールCで、結果は3勝7敗の最下位。2008年の北京五輪以降5年近く停滞し世界から遅れをとった日本が、米国人監督を招いたからといってすぐに国際大会で勝てるほど世界は甘くない。改めて日本が手をつけなければならない課題の多さが浮き彫りになった。

 数字的には厳しい結果だが、内容的には多くの変化が見えた。チーム始動から大会開幕まで練習時間が約1週間と限られる中、指揮官はサーブレシーブの新フォームや、速さよりスパイカーの高さや能力を活かせるトスなど、新たな要素を取り入れ、いくつかで成果を上げた。その一つが状況判断に優れた「スマートなバレー」だ。

 例えば海外勢の高いブロックに対する打ち方。やみくもに強打するのではなく、相手ブロックの弱い部分を的確に狙いブロックアウトを奪ったり、不利な状況ではブロックにわざと当ててリバウンドを取り、攻め直すなど、瞬時に状況に応じたプレーを選択する。

「いかに相手が嫌がるプレーをするかを、みんなが考えている」

 それは今の世界のスタンダードでもある。「決めるか止められるか一か八か」という高さとパワーだけのバレーでは、大型チームでさえ勝つのは難しくなり、失点を減らし、緻密に手堅く得点を奪うスタイルが増えているのだ。日本にこそそうした戦い方が求められるが、これまで徹底されていなかった。しかし今大会はそれをやろうとする意識が見えた。

 エースの福澤達哉は「今まで狙っていなかった決め方ができて選択肢が増えたし、いかに相手が嫌がるプレーをするかを、みんなが考えている」と語った。

 サトウ監督は'16年リオデジャネイロ五輪でメダル争いができるチームを目標に掲げる。そこに這い上がるためには、世界の真似だけではない日本オリジナルのバレーが必要だ。しかしそれ以前に、まずは世界に劣らない判断力や緻密さ、組織力や戦略がなければ、次の段階に進めない。今はまだそこに着手したばかりだ。

 道のりは遠く、なおかつ時間は限られている。とはいえ新チームが始動してまだ約1カ月半。もうしばらく期待を持って見守りたい。

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