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メジャーで躍動する永遠の野球小僧。
天衣無縫な川崎宗則、本当の価値。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2013/06/08 08:01

メジャーで躍動する永遠の野球小僧。天衣無縫な川崎宗則、本当の価値。<Number Web> photograph by Getty Images

5月26日のオリオールズ戦で逆転のヒットを放ち、ファンの声援に応える川崎宗則選手。ここまで(6月5日現在)の成績は打率.214と無安打が続き低迷している。正遊撃手のレイエス選手の復帰も迫り、正念場に立たされている。

「たくさんやり方があることを去年気づかされた」

 それが今シーズンはイチローが所属するヤンキースにこだわらず、メジャーでやりたい一心でキャンプイン後も所属先を探し続けた。この心境の変化は、野球選手としての本質が川崎を突き動かしたものだった。

「シアトルで1年終わった段階で、アメリカでやりたいと思いました。今まで見たことがないプレーがたくさんあった。僕だったらこうするのに、こっちの選手はこうするんだというのが、これまでのプロ11年間では無かった経験でした。こういうプレーを見せられた時に、もう少しこっちにいてもっと見てみたいし、自分もしてみたいというのが強かったと思います。

 もちろん日本にいる時からもっと上手くなりたいという気持ちは常に持っていました。特に内野手の場合は芝などの環境が変わり、僕らにとって正面がこちらではバックハンドで捕ることが正解だったり、片手で捕ることや下から投げることも基本だと考えられていたりして、改めて基本とは何なんだろうと思えてきた。そしてこちらはあくまでアウトを取ることが基本で、どのかたちが一番確率が高いのかを選んでいる、ということにも気づきました。

 自分は1つの基本しか知らなかったのが、たくさんやり方があることを去年気づかされた。僕は想像することが大好きなんですけど、今まで野球をしていて一番(想像が)膨らんだんです」

 川崎の野球に打ち込む姿勢、情熱は日本の時と何一つ変わったわけではない。ただ彼の中にある野球選手としての本能が、今一番やりたいことをメジャーの中で見出し、それを心底楽しんでいるようなのだ。

レイエスが復帰した時点で、川崎はマイナー行き!?

 一方で戦線離脱中のレイエスは順調に回復しており、現時点で6月下旬の復帰を目指し調整を続けている。

 もちろん彼が復帰した場合、当然誰かが25人の登録枠から外れなければならないわけだが、現在の登録枠にいる内野手の中で特別な措置をとらずにマイナーに回すオプションを有している選手は川崎しかいない。

 つまり川崎を残すためには、チームは誰か他のベテラン選手に日本で言うところの戦力外通告をしなければならないという難しい決断が待ち受けている。

「現時点では何も分からない。現に数日前(5月29日)にローリー(三塁手)が故障者リスト入りしているし、レイエスが戻ってくる前に何が起こるかもわからない。いずれにせよカワサキにはオプションがあり、マイナーに回ってもらうことになるが我々が彼を手放すようなことはないだろう」

 アレックス・アンソポロスGMの説明でもわかるように、現時点では川崎の去就は何一つ決まっているわけではない。だが仮にマイナーに戻ることがあったとしても、彼の心境に変化があるはずもなく、場所はどこであろうとも、野球ができる環境に感謝し、日々楽しむことになるだろう。

【次ページ】 純粋な野球少年のように「もっと上手くなりたい」。

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