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<ここがヘンだよ、日本サッカー(1)> 南アW杯準優勝監督が語る“日本の失敗”。 

text by

若水大樹

若水大樹Daiki Wakamizu

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2010/08/31 06:00

<ここがヘンだよ、日本サッカー(1)> 南アW杯準優勝監督が語る“日本の失敗”。<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA
南アでの日本の戦いぶりを、世界はどう見ていたのか。
オランダ代表監督として日本と対戦したベルト・ファンマルバイクが、
「日本の戦術変更」について本音を語った。

――W杯で得た日本代表の印象を聞かせてくれますか。

「昨年9月に私たちと親善試合で対戦したときは、結果と内容が反比例していた。オランダは3―0で勝利したが、日本のほうが前半は確実に良いサッカーを見せていた。あの試合で唯一足りなかったのは決定力。もし日本に決定力が備わっていたら、私たちは勝てていなかったかもしれない。だからW杯では日本は難しい相手になるかもしれないと警告されていた。

 その後、日本はいろいろ試して、違うスタイルに変わった。親善試合で私たちと対戦したときは、開始から早いプレスでプレッシャーをかけてきた。あのプレーはすごく良かったと思う。あの試合で私たちは学ぶことが多かった。そういう状況に対応するための練習が必要だと感じ、プレッシャーをかけられてもロングボールに頼らず、パスサッカーで対応できるように練習した。

 正直、W杯でも日本が親善試合のときのようにハイプレッシャーをかけてくると思っていた。だから日本がまったく違うサッカーをやってきたことには驚いたけど、その分こっちのゲームプランとしては楽になった。日本は1回のチャンスを待っているような戦い方で、その1度のチャンスは試合終了間際に訪れたが決め切れなかった。W杯での試合は親善試合のときとは違って、私たちが勝つべくして勝ったと思う」

――でもその良かった親善試合の前半のプレーは90分間続けることは不可能と当時誰もが口をそろえて言っていました。

「それはどんなチームにも無理なこと。プレッシャーをかけるときと落ち着くときというようにうまく使い分けなくてはいけない。どんなチームにとってもプレッシャー一辺倒ではなくバリエーションを持って試合を進めることが一番大事。それは自分たちがボールを持っているときも、相手がボールを持っているときもだ」

――W杯の日本で良かったと感じたところはありましたか。

「(親善試合で)あれだけ相手にプレッシャーをかけることができるのであれば、相手にボールを持たせてかかって来いと引いてみるのも効果的だということだ。そこが日本の良かったところ。W杯でも日本は良い印象を残したと思う。結果的に、日本の一番いい時期はW杯期間中だったのではないか」

【次ページ】 日本の守備的な戦術変更は「正直うれしかった」。

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ベルト・ファンマルバイク

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