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「無理せずやり直す」という
日本スタイルの功罪。
~清武、長友のプレーに感じたこと~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2013/03/20 08:00

「無理せずやり直す」という日本スタイルの功罪。~清武、長友のプレーに感じたこと~<Number Web> photograph by AFLO

 日本でサッカーを見ていて、ピッチ上の選手からこんな声がよく聞かれるようになったのは、もう十数年以上前のことだろうか。

 やり直せ!

 例えば、サイドにボールを展開して攻撃しようとしたとき、前方へのパスコース、あるいはドリブルするためのスペースを見つけられなかったとする。そんなときには、無理に確率の低い攻撃に打って出る必要はなく、一度ボールを下げてやり直せ、という意味だ。

 なるほど、カウンターを受けるリスクを減らすという点においても、無理せずにやり直すのは悪いことではない。

 だが、その結果、どうも日本のサッカー(Jリーグでも高校サッカーでも)は、攻撃が停滞しがちになった。確かにパスはつながっているが、ボールが前に進まず、シュートにも至らないのである。

 先ごろ、ヨーロッパで試合を見る機会があったのだが、日本との違いを感じたことのひとつに、バックパスに対するスタンドの反応がある。ヨーロッパの場合、それがホームチームであっても、はっきりとブーイングが示されるのだ。

「おいおい、攻める気あるのかよ」と。

やり直しのポイントは、前方向への狙いを持っているか否か。

 前述したような環境で育った日本人選手は、恐らくバックパスに対する抵抗感が小さいのだろう。となれば当然、彼らもブーイングのターゲットとなる。すでにチームの中心としてプレーする清武弘嗣や長友佑都であろうと、バックパスには容赦ない。

 なぜなら、サッカーはボールを保持した時間を競うものではなく、得点の数を競うものだからだ。ボールを前に運ぶ。すなわち相手ゴールに近づかなければ、得点が生まれる可能性は高まらない。

 やり直せ!

 そんな言葉で、日本のスタイルが確立されてきたというプラスの側面はあるだろう。しかし、やり直しが単なる逃げ道になったのでは意味がない。あくまでもやり直しは、前方向への狙いを持ったなかで行なわれなければならないはずだ。

 ダメならやり直せばいい。そんな言葉が都合よく解釈され、どうにかして相手の守備をこじ開けるという、いい意味での強引さを失わせてはいないだろうか。

 もしもボールを失ったら。もう一度奪い返してやり直せばいい。

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