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日本代表はセットアッパーで勝負!?
WBC優勝への投手起用法を考える。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/02/20 10:32

日本代表はセットアッパーで勝負!?WBC優勝への投手起用法を考える。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

昨年11月18日のキューバとの親善試合第2戦に先発した巨人・澤村。スライダーとフォークで3者連続三振を含む計4三振を奪い、2回を1安打無失点に抑えた。

セットアッパー重視のトレンドが代表候補にも伺える。

巨人 山口鉄也 72試合、75.1回、3勝2敗5セーブ47 HP、防御率0.84
中日 浅尾拓也 29試合、30回、1勝0敗1セーブ16 HP、防御率1.50
広島 今村猛 69試合、85.2回、2勝2敗4セーブ28 HP、防御率1.89
阪神 榎田大樹 48試合、42.1回、3勝3敗2セーブ24 HP、防御率2.34
日本ハム 増井浩俊 73試合、71.2回、5勝5敗7セーブ50 HP、防御率2.76
宮西尚生 66試合、60回、2勝2敗41 HP、防御率2.25
ロッテ 益田直也 72試合、75.1回、2勝2敗1セーブ43 HP、防御率1.67
オリックス 平野佳寿 70試合、79.2回、7勝4敗9セーブ28 HP、防御率2.15

 防御率は抑え投手のほうが総じて低いが、セットアッパーはイニング数が多く、ハードな局面に登板することが多い。たとえば、勝ちゲームの最終回、イニングの頭から投げる抑えに対して、セットアッパーは得点圏に走者を背負った場面で投げることが多い。

 いわばセットアッパーがピンチを防いで相手攻撃陣を意気消沈させ、最終回に花道を用意されたビッグネームの抑え役が颯爽と登場し、無得点に抑えるというパターンである。セットアッパーに勢いのある選手を用意する球界の傾向が、今回のWBC代表候補の顔ぶれからはよく窺えるというのはそういう意味だ。

厳しい球数制限があるWBCはエース1人では勝てない。

 ここからは、前回大会の投手起用を見ながら、今回大会のスケジュールと投手起用を考えていくことにする。

<第1R>
3/5 中国戦   ダルビッシュ→涌井→山口→田中→馬原→藤川
3/7 韓国戦    松坂→渡辺→杉内→岩田
3/9 韓国戦    岩隈→杉内→馬原→ダルビッシュ→山口→藤川

<第2R>
3/15 キューバ戦   松坂→岩隈→馬原→藤川
3/17 韓国戦      ダルビッシュ→山口→渡辺→涌井→岩田→田中
3/18 キューバ戦   岩隈→杉内
3/19 韓国戦       内海→小松→田中→山口→涌井→馬原→藤川

<決勝トーナメント>
3/22 アメリカ戦   松坂→杉内→田中→馬原→ダルビッシュ
3/23 韓国戦     岩隈→杉内→ダルビッシュ

[註]今回大会の球数制限
◇1次ラウンドは65球、2次ラウンドは80球、準決勝と決勝は95球に制限される。
◇50球以上投げた場合は中4日を空けなければならない

 前回大会同様、投手には球数制限が設けられているので、スーパースターが1人いるだけでは勝ち抜いていくことが難しい。日本やアメリカのように力のある投手を12~13人揃えることができるチームが有利と言っていい。

最大で4試合対戦するキューバが3連覇のカギを握る。

 具体的にどんな形で試合が進んでいくのか、すべての試合を日本が勝つという前提で「先発→2番手」のローテーションを予想してみた。

3/2    ブラジル vs. 日本       (先発・田中→2番手・杉内)
3/3         日本 vs. 中国        (前田→内海)
3/6   キューバ vs. 日本        (杉内→澤村)
3/8         日本 vs. オランダ   (田中→能見)
3/10 キューバ vs. 日本        (前田→大隣)
3/12       日本 vs. キューバ  (杉内→澤村)
3/17       日本 vs. ドミニカ    (田中→前田)
3/19       日本 vs. アメリカ    (杉内→澤村)

 今大会において日本の運命を決するのはキューバ戦だろう。対戦が決定している第1ラウンドの3月6日以外でも、第2ラウンドで2試合対戦する可能性がある。さらに準決勝でともに勝ち上がれば決勝で対戦することになり、4回も戦うことになる。まさにカギを握る存在と言っていい。

【次ページ】 キーとなるキューバ戦に勝つための投手陣は?

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