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暴風の日本OPを制した
久保谷の居直りスイッチ。
~大逆転優勝を呼んだ“ボヤき”~ 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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photograph byTaku Miyamoto

posted2012/10/27 08:00

暴風の日本OPを制した久保谷の居直りスイッチ。~大逆転優勝を呼んだ“ボヤき”~<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

 沖縄で初めて開催された日本オープンは、台風の影響で連日、暴風が吹き荒れた。

 最大瞬間風速が16m/秒以上という時間帯もあったほどで、スコットランドのリンクスで行なわれる悪天候の全英オープンを彷彿とさせた。

 そればかりか、コースセッティングは理不尽なまでに難しい、という声が多かった。攻めの幅が広く技の引き出しが多い藤田寛之ですら「(攻めて行く上で)ラインが見えない」と嘆いた。つまり、ショットを繋いでいく点と点を結ぶ術がないのだ。

 例えば、ティフトン芝のラフに入ると、根がしっかりと育ちすぎて、そこにボールが入る。さらに芝がイソギンチャクのようにボールを包みこんでしまう。脱出できても強風でどこまで飛び、どう転がるのか予測出来ない。グリーンに乗ってもグリーンが硬く奥まで転がる。

「世界屈指の技を持つ青木(功)さんが、その技を使わせてもらえないようなセッティング」という中嶋常幸の表現が言い得て妙だった。

「あー、もうダメだ」と言い続けて、理不尽な難コースを攻略。

 そんなサバイバルゲームを制したのは40歳の久保谷健一。

「信じられない。僕が勝っちゃってまだ実感わかないし、喜べと言われても喜べる状況じゃないので、何とも言えないけど、こんな状況になると思ってなかったので……全英のエルスみたいで先に上がって帰り支度しようと思ってた」

 勝者・久保谷の戸惑いは無理もない。

 というのも、首位を走るJ・パグンサンが、17番、パー3の第1打を池に入れてダブルボギーを叩き、最終ホールでもボギーとしてのタナボタ優勝だったからだ。

 技封じのセッティングともいえる中で、久保谷が勝てたのは、いい意味で開き直った一心不乱の戦いのおかげだ。

「ドライバーショットの乱れは、風のせいにできるから、むしろ楽。ボギーはいいけどダブルボギーさえ出さなければ上位にいけると考えていた。それに頭の中は(絶不調の)パッティングのことしかなかったからね」

 プレー中、常にボヤく久保谷。「あー、もうダメだ」と何十回も言っていたそうだ。それが、居直りスイッチの切り替えになったのかも知れない。

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