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ベイスターズは変わったのか――。
涙にくれた2012年を総括する。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byKyodo News

posted2012/10/23 10:31

ベイスターズは変わったのか――。涙にくれた2012年を総括する。<Number Web> photograph by Kyodo News

10月8日の横浜スタジアム最終戦で大演説をするベイスターズの中畑監督。

 あ゛……。

 巨人・矢野謙次の放った打球がレフトへ高々と上がった瞬間、最後まで声を張り上げていたレフトビジター周辺の空気は、一年前とまったく同じように凍りついた。

 10月7日東京ドーム最終戦は、長野久義の代打逆転サヨナラ満塁ホームランで終戦した去年に続き、2年連続サヨナラホームランでの幕切れとなった。しかも今年は、東京ドーム主催試合0勝という前代未聞のおまけ付き。

 止まった時間の中で、巨人ファンが勝利の凱歌を挙げながら、オレンジのタオルを振りかざす。それらは、ベイファンから漏れる一斉のため息で、はたはたはたはた、たなびいていく。その光景は、まぎれもない、地獄。

 試合自体は悪い試合じゃなかった。9回までは先発の加賀美希昇が熱投、マウンドに来ようとするデニーコーチ(友利結)を逆に睨み返すような気合で再三のピンチを乗り切ると、9回表には無死一塁で筒香嘉智に送りバントをさせて勝利への執念も見せる。だが、問題の10回裏。代わったばかりの藤江均の不用意な初球を叩かれ、負けた。善戦しても勝ちきれない、毎度毎度のおなぐさみ。

 ガンガンとアクリル板を蹴る人、ベンチに向かってやり場のない憤りを叫ぶ人、茫然自失で動けないでいる人、そんな焼け野原と化した敗戦後のレフトスタンドにいたら、びっくりするほど泣けてきた。これまで勝って泣いたことはあっても、負けて泣いたことなんて一度もないのに、どうしようもなく悔しくて、涙が溢れてきた。

今になって気づいた……何も進歩してへんやないか!

 そこではじめて気がついた。何も変わっちゃいないじゃないか。

 今シーズン、どんなに負けようとも、チームがどん底から変わりつつある過程なのだからしょうがないと思っていた。去年と比べれば、監督が明るい、ベンチの雰囲気がいい、若手も出てきた、石川(雄洋)キャプテンも覚醒した(途端骨折した)、球団がいろいろ仕掛けてくれる、観客動員も伸びた等々、長い低迷期から抜け出せる気配みたいなものもチラホラと見られたのだから、前へ進んでいるような気になっていた。

 被弾した藤江にしたってそうだ。今季の藤江は本当に頑張った。マウンドで十分な気魄を見せてくれたし、信頼に足る結果も残してきた。あの一球でシーズンを否定するのは酷だ。

 だが、終戦してみれば、最悪と言われた昨年の勝ち星をも下回る46勝85敗13分けの5年連続クソ最下位。藤江は大事な局面で不用意な球を放るただの中継ぎ、そう言われてしまってもしょうがない。

 その現実がただただ重かった。

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