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陸上と水泳の“実力差”。
~日本人選手の世界ランクは?~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byAsami Enomoto

posted2012/07/14 08:00

陸上と水泳の“実力差”。~日本人選手の世界ランクは?~<Number Web> photograph by Asami Enomoto

4月に行われた競泳日本選手権。男子200m平泳ぎ決勝で1位、2位となり、ロンドン五輪代表を決めた北島康介と立石諒。どちらのタイムも、昨年の世界選手権の優勝タイムを上回るもので、ロンドンでの1、2フィニッシュに期待がかかる。

 日本陸上選手権が終わって、陸上競技のロンドン五輪代表が決まった。初の五輪代表となる男子100mの江里口匡史と山縣亮太、400m障害の岸本鷹幸、やり投のディーン元気といった有望な若手の名前が加わったのは頼もしい。

 日本選手権で、今季世界ランキング5位(7月7日時点=以下同じ)の好記録で優勝した岸本、今季2度目の84m超えを記録したディーンの飛躍は、'00年のシドニー五輪当時、末續慎吾、為末大、室伏広治が世界の舞台に台頭してきた状況を、思い起こさせる。

 しかしロンドン五輪の決勝で、ある程度上位を狙える種目となると、決して多いとは言えない。岸本の男子400m障害、室伏のハンマー投、ディーンと村上幸史のやり投。この3種目だけだ。実績から見て、マラソンもメダル候補とは言えない。北京五輪で銅メダルを獲得した男子400mリレーも、日本選手権の100mのタイムを見る限り、決勝進出が当確とは言えないだろう。

 陸上競技は夏季五輪の花形競技だ。中でもトラック種目は、国の経済力によって練習環境に差が出ないため、世界レベルの競争が激しい。アフリカを含めた5大陸すべてに強豪国が存在する。決勝の8人に残るだけでも、格段に難しい競技だ。そのことを認めた上で、あえて比較しておきたいのが、日本の陸上競技と水泳の、世界におけるポジションである。

●陸上競技と水泳の有力選手 今季最高記録の世界ランキング
    選手名 種目   今季最高記録
水泳 男子 入江陵介 100m背泳ぎ (2) 52秒91
200m背泳ぎ (1) 1分54秒02
北島康介 100m平泳ぎ (1) 58秒90
200m平泳ぎ (1) 2分08秒00
立石諒 100m平泳ぎ (2) 59秒60
200m平泳ぎ (2) 2分08秒17
松田丈志 200mバタフライ (1) 1分54秒01
女子 寺川綾 100m背泳ぎ (2) 59秒08
鈴木聡美 200m平泳ぎ (2) 2分22秒99
星奈津美 200mバタフライ (1) 2分04秒69
陸上競技 男子 江里口匡史 100m (65) 10秒18
山縣亮太 100m (33) 10秒08
高瀬慧 200m (35) 20秒42
金丸祐三 400m (52) 45秒47
藤原新 マラソン (46) 2時間07分48秒
岸本鷹幸 400m障害 (5) 48秒41
室伏広治 ハンマー投 (82) 72m85
村上幸史 やり投 (13) 83m95
ディーン元気 やり投 (11) 84m28
女子 福島千里 100m (89) 11秒34
吉川美香 1万m (11) 31分28秒71
重友梨佐 マラソン (18) 2時間23分23秒
海老原有希 やり投 (16) 62m36
※( )内の数字は世界ランキング。7月7日時点。

 別表は、ロンドン五輪に出場する陸上競技と水泳の、主な有力選手の今季世界ランキング。水泳の場合、表に示した有力選手7人の順位は、いずれも現時点で3位以内だ。男子平泳ぎでは北島康介と立石諒が100m、200mの両方で1位と2位を独占。女子200mバタフライの星奈津美は今季世界でただ1人、2分4秒台を記録している。

 また、表には入っていないが、400m個人メドレーでも日本の高校3年生、萩野公介が4位につけている。

世界ランキング上位の選手は数えるほどしかいない陸上競技。

 一方、陸上競技では岸本の5位が最高。代表選手の中で、トップ10に入っているのは、岸本のほかは50km競歩の山崎勇喜(6位)と谷井孝行(8位)だけだ。室伏が82位の記録しか残していないのは、今季出場した試合が日本選手権だけで、試合当日は雨に見舞われたこともあって、抑え気味の投てきで3回しか投げなかったことによる。彼が世界のトップを争う選手であることは疑いない。

 だが、短距離では、100mは山縣の33位が最高で、レベルが高いと見られた200mでも髙瀬慧が35位。マラソンでは重友梨佐の18位が最上位だ。マラソンの場合、重友の上にランクインしているのはエチオピア、ケニア、中国の選手だけだから、1カ国3人というオリンピック出場枠を考えると、ロンドン五輪に出る選手の中では8番目ということになるが、いずれにしても入賞確実のポジションとは言い切れない。

【次ページ】 アトランタ五輪の惨敗に多くを学んだ日本水泳界。

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