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柔道52kg級・西田優香が
過酷な“連戦”を選んだ理由。
~中村美里と五輪出場をかけて~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2012/04/26 06:00

柔道52kg級・西田優香が過酷な“連戦”を選んだ理由。~中村美里と五輪出場をかけて~<Number Web> photograph by AFLO

「ワールドマスターズ」で宿敵中村(左)を退けた西田。直接対決の通算成績は4勝6敗。

 4月27日から、柔道のアジア選手権が行なわれる。今回は、翌月の12、13日にロンドン五輪代表最終選考会となる全日本選抜体重別選手権が控えていることもあって、有力選手の多くは欠場することになった。

 一方で、アジア選手権に出場する選手もいる。その一人が52kg級の西田優香である。厳しい日程になるにもかかわらず出場を選択したのは、五輪代表を争うライバルの中村美里に追いつくためだ。

 西田は、2008年の北京五輪の前は、代表の最有力候補と言われる存在だった。だが、五輪前年に48kg級から階級を上げてきた中村美里が猛追。西田は最終選考会で優勝した中村に代表の座を奪われた。

 北京後も、中村を追いかける展開が続いた。'10年の世界選手権こそ、決勝で中村に判定勝ちをおさめ優勝したが、昨年の世界選手権は中村に敗れ準優勝。'09、'11年と同大会を制した中村が、あらためて52kg級の有力候補とみなされることになった。

実績重視の柔道において、中村との差を埋めるために必要なこと。

 それでも、あきらめなかった。

「一本を取る柔道はアピールできたと思います。まだ(代表争いは)続くので」

 昨年の世界選手権後の言葉である。その言葉のとおり、今年1月の国際大会「ワールドマスターズ」の決勝で中村に一本勝ちして優勝。再び代表を争える位置に戻ってきた。根本には、北京五輪の代表になれなかった悔しさがある。

 とはいえ、中村と対等、あるいは追い抜いたとは言えない。52kg級の日本勢にとって、最大の強敵はアン・グムエ(北朝鮮)だが、中村は昨年の世界選手権でアンに勝利している。実績を重んじる柔道では、その勝利は大きな意味を持つ。アジア選手権には、アンが出場する予定だ。順当に勝ち進めば対戦することになるアンに勝利すれば、中村との実績の差を埋めることができる。そのためのアジア選手権への出場であり、スケジュール的には厳しくなるとはいえ、ロンドンへの道を切り開くためには必要だったのだ。

 むろん、中村も、北京五輪で銅メダルに終わった雪辱を果たすために、ロンドンを目指してやってきた。オリンピックへの思いは、西田にひけをとらない。

 中村のオリンピックへの執念を、西田は上回ることができるか。

 ロンドンへの切符をかけた両者の戦いは、佳境を迎えようとしている。

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