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モウリーニョ2世になるはずが……。
ビラスボアスがチーム不振で崖っぷち。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/02/29 10:30

モウリーニョ2世になるはずが……。ビラスボアスがチーム不振で崖っぷち。<Number Web> photograph by AFLO

ダニエル・スタリッジに強い口調で指示を伝えるビラスボアス。人心掌握は得意分野だったはずだが……。戦術の浸透を待てる残り時間は確実に短くなってきている

完璧とは言えないが、納得できる“シンパ”の起用。

 しかし、ナポリ戦の布陣に、そこまでの意思表示があったとは思えない。ビラスボアスは、「結果が出なかったのだから戦術を説明しても意味がない」と試合後に語っているが、メディアで騒がれたほど理解に苦しむ人選ではなかった。

 中盤に関しては、長期欠場から復帰して日が浅く、11日のリーグ戦でも精彩を欠いていたエッシェンに対し、ラミレスは今季のチーム内MVP候補だ。

 前監督時代の昨季は守備要員と目されていたが、攻撃参加を奨励されている今季は、ナポリ戦でも披露した突進がトレードマークとなっている。

 メイレレスは、ゴール前に顔を出したがるランパードよりも守備の意識と能力が高い。マークを誤ってエセキエル・ラベッシに同点のシュートを打たれたが、ラミレスとの相性の良さは、昨年12月のマンチェスターC戦(2-1)など、やはりランパードを抑えて先発したリーグ戦でも確認されている。

 ジョン・テリーを欠く最終ラインでは、CBのルイスが、安全第一の意識を欠いてラベッシのダメ押しゴールを招いた。軽率な守りによる失点は過去にも例がある。

 今冬に加入したギャリー・ケイヒルの相棒には、ブラニスラフ・イバノビッチという選択肢もあった。“ボール・ウォッチング”でエディンソン・カバーニに逆転ゴールを許しはしたが、体を張れるイバノビッチの右SB起用は、アウトサイドを警戒する場合の常套手段。

 本職とはいえ攻撃過多なボシングワに右サイドを任せていれば、対峙することになったラベッシによる被害は2ゴールでは済まなかっただろう。

ボシングワの左SB起用だけは、判断ミスと言わざるを得ない。

 但し、そのボシングワの左SB起用は正当化し難い。

 コールが故障明けだったことは事実だが、只でさえ守備力が不安なボシングワの逆サイド起用を上回るリスクであったはずはない。ボシングワの負傷(ハムストリング)で約80分間の交代出場を果たしたコールは、度々クリスティアン・マッジョに抜き去られはしたが、先発は可能であったことを証明した。ベンチスタートは判断ミスと言わざるを得ない。

【次ページ】 マン・マネージメントの落ち度が“内紛”の原因か?

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チェルシー
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ラミレス
ダビド・ルイス
ジョゼ・ボシングワ
ブラニスラフ・イバノビッチ
ギャリー・ケーヒル

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