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なでしこ快挙の舞台裏と
その先にある夢を描く。
~『凛と咲く』著者インタビュー~ 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph bySports Graphic Number

posted2011/09/24 08:00

なでしこ快挙の舞台裏とその先にある夢を描く。~『凛と咲く』著者インタビュー~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『凛と咲く なでしこジャパン30年目の歓喜と挑戦』 日々野真理著 KKベストセラーズ 1300円+税

 フリーアナウンサーの日々野真理さんは、10年にわたってなでしこジャパンを密着取材してきた。先の女子W杯ドイツ大会では民放局のリポーターを務め、彼女たちの戦いをピッチサイドから見届けた。取材の蓄積をもとに、なでしこジャパンの優勝への道のりを一冊にまとめたのが、この『凛と咲く』である。

「ピッチの傍でなでしこを見てきて実感したのは、ベンチにいる選手たちもピッチでプレーする選手と同じテンションで戦っていたことです。スタメンもサブも関係なく、本当に全員の力で勝ち取った優勝だと言えました。これまではひたむきに頑張ってきた彼女たちの魅力を伝えたくても、そういうチャンスがなかった。今回こうやって本を通じて、少しでも伝えられればうれしい限りです」

 日々野さんがなでしこの魅力に取りつかれたのは、W杯アメリカ大会(2003年)への出場権をかけた大陸間プレーオフがきっかけだった。メキシコを振り切って本大会出場を決め、当時キャプテンだった大部由美が試合後に大泣きしながらインタビューに応えた姿を「今でも忘れられない」という。

「日本の女子サッカーの地位を上げたい」というピュアな気持ち。

「アウェーで引き分けて、ホームで勝ったんですけど、彼女たちは命懸けでした。アウェーはアステカの高地で戦ったので帰国しても疲労がひどくて……号泣する大部さんを目にしてジーンと胸に来るものがありました。W杯に行きたい、世界に出て日本の女子サッカーの地位を上げたい。そんなピュアな気持ちが直に伝わってきて、ずっと見ていきたいと思うようになったのです」

 このプレーオフで澤穂希との出会いを果たしている。「こんなに巧い選手がいるなんて!」というのが第一印象。彼女のプレーを見ることが楽しみの一つになったという。

 また、大陸間プレーオフを突破して出場したW杯アメリカ大会の取材で衝撃を受けたのが、ドイツと日本との明らかなレベルの差だった。

「日本がグループリーグで対戦するので、ドイツの練習を見に行ったんです。そうしたらキックの音からしてまるで違う。男性並みの力があって、鳥肌が立ちました。結局なでしこは0-3と完敗して、ドイツは優勝を成し遂げました。

【次ページ】 ドイツ戦の勝利は、なでしこたちの努力の証明。

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