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イングランドの夢を打ち砕いたジダン 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2004/06/14 00:00

イングランドの夢を打ち砕いたジダン<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 目の前でいつか見たような光景が繰り広げられている。歓喜に酔うトリコロールのユニフォーム。抱き合う選手たち、その中心には背番号10。スタンドから響く“ジズー”コールは一向に鳴り止まない。そしてその声はやがて“アレーフランス”に変わってゆく。

 2000年7月、ロッテルダム。あの時もフランス代表は最後の瞬間まで諦めることなく、ボールを追い続けた。フランス対イタリアの対戦となったEURO2000決勝。1点を先制したイタリアは例のごとく鉄壁の守備でゴールに鍵をかけた。しかしフランスは攻め続け、ロスタイムにヴィルトールが同点弾。その後トレゼゲが食い下がるイタリア人たちを奈落の底に突き落とした。

 あれから4年が経った。今回の犠牲者はイングランドだ。彼らは最後まで戦った。イングランドにとって不運だったのはサッカーというスポーツにロスタイムが存在する事、そして相手チームにジダンがいた事だろう。彼がFKのボールをセットしたとき、時計は90分を過ぎていた。そして彼はボールが辿るべき道筋を頭に描き、右足を振りぬいた。

 同点となってからもフランスはさらに攻め立てた。そしてジェラードの不用意なバックパスをアンリがかっさらい、GKに倒されPKを得る。後半48分、キッカーはジダン。外すはずはなかった。

 歓喜するフランス人、呆然とするイングランド人。この瞬間、Da Luzスタジアムのスタンドは二つのコントラストに染まった。

 イングランドは前半38分にベッカムのFKからランパードが頭で合わせ先制。そこから90分までは無失点で試合を運んだ。惜しむらくは後半28分、ルーニーの突破で得たPK。主将ベッカムが蹴ったボールはしかし、元チームメイトのバルテズにはじかれる。ターニングポイントだった。

 試合後、イングランドの主将は言った。

「PKは自分の責任だ。あれが決まっていれば予選突破も見えてきたのに・・・」

 一方、マンオブザマッチの表彰を受け、ゆっくりとミックスゾーンにやってきたジダン。時折笑顔も見せながら彼は言った。

 「最高に嬉しい。まさにサッカーの喜びはここにあるんだ。これが決勝だったらもっと良かったけれどね」

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