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リーグ後半戦、代表復帰をかけた
オーウェンの逆襲が始まる。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2010/01/26 10:30

リーグ後半戦、代表復帰をかけたオーウェンの逆襲が始まる。<Number Web> photograph by AFLO

カーリングカップのシティ戦で途中出場ながら抜群の動きを見せたオーウェン。悲願の代表復帰に向けて、コンディションは上々だ

残る1枠のFWの座を争う相手はジャーメイン・デフォー。

 かくいう筆者もその1人。そこでオーウェン代表復帰の現実味を検討してみたい。攻撃的MF陣の充実ぶりを考えると、カペッロはW杯メンバーにFWを4名しか連れて行かない可能性がある。別格のルーニー以外では、パートナー第1候補のエミール・ヘスキーと、その代役となる長身のピーター・クラウチの代表入りが固いと思われる。となれば、オーウェンが残る1枠を争う相手は、代表での将来が期待されて久しいジャーメイン・デフォーになる。

 ストライカーとしてのオーウェンの信頼度はデフォーに勝るとも劣らない。執拗に最終ラインの裏を狙う“いやらしさ”と、ゴール前でのポジショニングのセンスの良さは、元代表エースで現在はテレビ解説者のアラン・シアラーが、今シーズンも常々指摘するところだ。この2つの長所は、縦に抜ける速さとシュートの強さで勝負するデフォーにはない。体力では3歳若いデフォーに分があるが、コンディションに関しては、大きな怪我のない現在のオーウェンにも不安はない。ヴォルフスブルク戦での3点目は、90分を過ぎてもカウンターから長距離を走る脚力があったからこそのゴールだった。

つねに安定した決定力を誇るオーウェンに勝機は十分。

 決定力ではオーウェンがデフォーを上回る。デフォーには好不調の波の激しさという弱点がある。乗っていない時には、数度の絶好機にシュートが全て枠外に飛ぶということも珍しくない。今シーズン前半はリーグ得点王争いを演じてきたが、このむらっ気が災いし、過去にリーグ戦での得点を20点台に乗せたことは1度もない。この不安定さこそが代表定着を妨げてきた要因でもある。その点オーウェンは、代表レベルでも89試合40得点の実績を持つ。

 代表でのオーウェンの運命を握るカペッロは「戦力として考慮するにはクラブでの出場数が足りない」と言うが、ユナイテッドはCL決勝トーナメントも始まる2月以降は過密日程が必至になる。ルーニーにも休養が必要で、正パートナーのディミタル・ベルバトフは手術を延期した膝をかばいながらの戦いとなる。

 ファーガソンは「マイケルが試合を必要としていることは承知しているし、(代表復帰に)十分なチャンスを与えるつもりだ」と、年明け早々に語っている。

 オーウェン自身が、ベンチスタートが続いても不満を口にせずにいることからも、互いに信頼し合っている監督と選手の関係が想像できる。国内外での優勝争いで先発の機会が増えれば、プレミア4位争いが精一杯のトッテナムでプレーするデフォーとは違い、よりハイレベルな舞台で代表監督へのアピールが可能だ。

【次ページ】 W杯前の最後の4カ月間でオーウェンに門戸は開かれるか?

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