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結果至上主義が吹き荒れるセリエA。
新監督たちの今季成績を総チェック! 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2011/06/11 08:01

結果至上主義が吹き荒れるセリエA。新監督たちの今季成績を総チェック!<Number Web> photograph by Getty Images

7シーズンぶりの優勝を果たしたミランのアッレグリ監督。前チームとなるカリアリ時代の2010年には、年間最優秀監督におくられる「パンキーナ・ドーロ」(金のベンチ)も受賞している

サンプドリアの降格で表面化したカップ戦の難しさ。

 順位は下降する一方、2大エースをみすみす放出したクラブをサポーターは激しく糾弾。

 ディカルロは更迭され、29節からカバシンが後任に就いたが、もはや手遅れだった。

 33節ミラン戦にも成す術なく敗れると、帰路の選手バスが投石で襲撃された。乗り込んできたウルトラスは、萎縮しきった選手たちに「Bに落ちたら全員殺してやる!」と脅迫した。プレッシャーに押し潰されたまま、37節パレルモ戦であえなく降格が決まると、主将パロンボは両手を合わせ、号泣した。

 わずか1年で脆くも崩壊したサンプドリアに、地方クラブが欧州カップ戦を戦うことの難しさをあらためて知らされた。

監督交代、積極補強……来季をにらんだ地方クラブの動向。

 地方クラブにとって、欧州カップ戦とは甘美な罠だ。

 憧れの舞台であると同時に、著しく戦力を消耗させ、国内リーグの戦い方へ深刻な影響を及ぼす。来季CLへはミラノ勢の他にナポリとウディネーゼが挑むが、今夏市場戦略は好対照だ。

 野心あふれるナポリは積極補強を図り、健全経営を固持するウディネーゼは主力の高値売却に徹する。マッツァーリとグイドリン、それぞれの指揮官は留任することになったわけだが、2人とも来季がCLデビュー。彼らもまた欧州戦線の陥穽にはまるのを避けなければならない。

 新監督デルネーリによる改革が完全に失敗したユベントスは、ついにEL出場枠すら逃した。

 怒り心頭のユーベ上層部は、リッピ時代に主将も務めた若手の実力派監督コンテを招聘。異なるチームを率いて2回もセリエA昇格を成し遂げた手腕以上に、引退してまだわずか7年のOBが持つ勝者のメンタリティが、名門再建に必要だと判断したようだ。

 森本貴幸の去就が気になるカターニャもまた、来季へ向けた監督交代は必至だ。

【次ページ】 スクデット獲得でも安泰ではないのがセリエAの監督。

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