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地方競馬再建のために
抜本的な解決策を。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

posted2006/06/22 00:00

 地方競馬の落ち込みぶりは、カンフル剤どころか、すでにモルヒネが必要なぐらい、のっぴきならないところまで来ていると思われる。首都圏のナイターを軌道に乗せて、ここだけは絶対に安泰と思われていた大井競馬でさえ、設備投資の回収に手間取って収支の帳尻を合わせるのが大変になっているという噂だ。とすれば、他の競馬場は売り上げの桁が一つも二つも違うわけで、ソロバン勘定が合わないのも当然といえる。

 視野を広くしてもらえれば、競馬場単位の収支計算だけで存在価値を論じるのがそもそもおかしいのだが、ギャンブル場を「必要悪」と考えている層が決して少数でなくいることも確かなこと。自治体に利益をもたらさなくなったそれは単なる「悪」で、そんなものは廃止してしまえという思考に至るというのもよくわかる。競馬に携わっている人間としては非常に残念なのだが、厳然たる事実として認めないわけにはいかない。

 赤字を出せば即廃止論につながるというわけで、運営者である地方自治体は経費をギリギリまで絞る競馬開催を打ち出している。たとえば笠松競馬(岐阜県笠松町)は、賞金レベルを下げに下げ、手当ても削りまくって、低迷する売り上げを見越した経営に出た。

 結果は存続成功。しかし、調教師、騎手、厩務員の収入レベルは極端に下がり、馬主は誰ひとりペイしている人がいないという、世界にも例を見ない「ボランティア競馬」が行なわれることになったのである。だがこれでは続いているとは言い難い。勝者が存在しない勝負事など、あり得ないからだ。早晩、馬主が撤退して自然消滅となるのは見えている。

 抜本的な解決策をひとつ提案したい。調教師が馬主を兼ねられるように法律の変更を願い出るのだ。いまの馬不足は、「走るか走らないかわからない馬に、多額の預託料を払えない」という馬主側の事情が唯一最大の原因。調教師が馬主を兼ねられるのなら、実費だけで馬を養うことができ、実戦で走ることを証明したうえで転売も可能となるわけだ。これなら牧場で余っている馬がとりあえず競馬場までは行けるわけで、馬資源の無駄も減り、頭数が増えればそれだけ馬券的な興味も増す。今こそ、地方競馬は結束して政治家を動かすべきだと思うのだが。

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