SCORE CARDBACK NUMBER

古豪が復活するための期待を背負うエース。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2005/09/01 00:00

古豪が復活するための期待を背負うエース。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 2005ペナントレースの特徴的な現象は、新しい波が押し寄せていることだ。例えば、アスレティックスの新守護神ヒューストン・ストリート、あるいはブレーブスの打撃陣における救世主的な存在となったジェフ・フランコア。この2人はセンセーショナルさからいって、その象徴と言えよう。

 22歳のジェレミー・ボンダーマンもまた、タイガースが優勝争いから後退していなければ、もっと注目されていたはずだ。メジャー3年目の今シーズン、 90マイル後半のファストボールと高速スライダーを武器に、すでに自己最多の13勝をマーク、最多勝の可能性も膨らんでいる。

 「スプリングトレーニングからずっと、このチームのナンバーワン投手になることを目標にしてきた。いや、なれると信じてきたと言った方がいいかもしれない」

 ボンダーマンは、表情を変えることもなく、ぶっきらぼうに言った。その時見せた眼光の鋭さは、強固な意志を示しているように感じられた。

 '01年にドラフト1位でアスレティックスに入団。翌年の8月、ヤンキースが絡んだ三角トレードで早くも移籍を経験した。

 「嫌だとは思わなかった。むしろ指名されて嬉しかった。アスレティックスより昇格のチャンスも大きいと思ったしね」

 その通りだった。'03年のスプリングトレーニングで実力を認められ、弱冠20歳で1Aから一気にメジャー昇格、開幕ローテーション入りも果たしたのである。

 だがその年、チームは開幕9連敗を喫したのを始め、黒星の山を築き、遂にはア・リーグのワースト記録となる119敗。ボンダーマンも19敗(6勝)と屈辱的な成績でルーキーシーズンを終えた。

 「あの時は、負け続けていても常に『これは次のステップに進むためのプロセスだ』と自分に言い聞かせていた。あれがあったからこそ、今があるんだと思う」

 投手コーチのボブ・クラックは、ボンダーマンの将来に太鼓判を押す。

 「彼は、こちらが考えているよりずっと早く成長している。今年はチェンジアップもマスターしたので、来年はカットファストボールを教えるつもりだ。リーグを代表する投手になるまで、そう時間はかからないだろう」

 若きエースの誕生で、古豪は復活への道を確実に歩み始めているようである。

ページトップ