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10年ぶりの“バリジャパ”で
見られた明と暗。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2009/11/25 06:00

メインイベントに出場した五味は僅差の判定勝利。3R終了後、突然スタミナが切れていた

メインイベントに出場した五味は僅差の判定勝利。3R終了後、突然スタミナが切れていた

 10年ぶりに開催された伝説の総合格闘技イベント『VALE TUDO JAPAN 09』(10月30日・東京)は、いろいろな意味で余韻の残る大会だった。大会直前になって佐藤ルミナとの対戦が決まっていたジョー・ウォーレンが欠場するなど、マッチメークは二転三転。しかし、いざフタを開けてみると、それを補っても余りある熱気と興奮が会場を包み込んだ。

 そのきっかけを作ったのは、過去のバリジャパで幾多の名勝負を繰り広げている佐藤ルミナの2年7カ月ぶりの復活劇だった。ウォーレンの代役であるコーリー・グラントを往年の佐藤を彷彿させるスピードとキレを伴ったパウンドで料理すると、場内の熱は一気に高まった。

荒さと調整不足が目立った五味隆典。

 5分5ラウンドという通常の修斗公式戦より2R長いセミとメインの試合時間は、プラスにもマイナスにも作用した。それを如実に感じさせてくれたのは、五味隆典とトニー・ハービーの一騎討ちだ。五味が頻繁に構えをスイッチしていたのは、ハービーの左ミドルキックが効いていたからにほかならない。その一方で五味の右ボディフックでハービーの動きが一瞬止まる場面も。3R以降はラウンドが終わるたびに、お互い這いながら自軍に戻るほど体力を消耗していた。五味が判定勝ちを収めることができたのは、中盤まで試合を支配する機会が多かったからだろう。ただ、かつての彼を知る者にとっては、あまりにも攻撃の粗さと調整不足が目立つ一戦でもあった。

特別ルールが果たし合いの原点を呼び起こした。

 今回は実験の場としての側面もあった。この日は修斗公式戦では反則である踏みつけや寝技でのヒザ蹴りが解禁された。結果的にこれらの攻撃が新しい興奮を呼び込んだ。それを最も具現化していたのはリオン武vs.アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ。2Rまでノゲイラは寝技でのヒザ蹴りでリオンの顔面を大きく腫らす。もっとも、タフなリオンは、それだけでは終わらない。その後パウンドで形勢を逆転し、4RKO勝ちした。頻繁に勝者が狙っていた踏みつけは、当たればそれで勝負が決まるようなインパクトを感じさせた。総合格闘技が洗練され、競技化が進む昨今、制約が少なく、果たし合いの要素が強かった初期の試合スタイル――バーリトゥードを久々に味わうことができた大会だった。

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