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立ち技の2つのスタイルを
並立させる組織が誕生。
~K-1系とムエタイ共通の問題点~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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posted2010/02/15 06:00

立ち技の2つのスタイルを並立させる組織が誕生。~K-1系とムエタイ共通の問題点~<Number Web>

会見での、左からRISE代表の伊藤隆、藤原敏男、山口元気、M-1 MC代表の山本智各氏

 ここ数年、日本の立ち技格闘技に大きな変化が起こっている。RISEやKrushなど限りなくK-1に近いルールでのイベントが増える一方で、純粋なムエタイのイベントも増えているのだ。それ以前はキックボクシングがK-1系もムエタイも内包することが多かった。国内では一番歴史の長いキックが上位概念にあったからだ。

 単純にルールを比較すると、ヒジが反則でヒザにも制限を加えられたK-1系と、ヒジもヒザもOKのムエタイは似て非なる競技。しかし、イベントとしての問題点は同一だ。マッチメークなど一過性の話題を求めたあまり、競技の面が疎かになりがちな傾向があったのだ。

 例えば、選手の安全管理。プロボクシングとは違って立ち技格闘技の方は各プロモーションが別個にルールを設けているため、KO負けした選手が他のプロモーションに出場する際の休養期間について設けられたルールはない。レフェリーやジャッジも、JBCのような中立機関が管理するのではなく、各プロモーションが直に雇うシステムをとっている。こうなると、プロモーターの顔色をうかがったジャッジがあっても不思議ではない。

立ち技格闘技の普及を目指して設立されたJMD。

 こうした現状を憂え、先日従来の団体とは一線を画した組織が産声をあげた。外国人として初めてムエタイ王者になった藤原敏男氏を理事長とする『ジャパン・マーシャルアーツ・ディレクターズ』(JMD)だ。すでに日本で一番有名なムエタイ・イベント『M-1』がJMD傘下に入ることを約束。RISEも正式加入する方向で話し合いがもたれている。将来的にJMDが目指すのはムエタイとRISEという2つのルールを並行して立てたうえで、コミッション、プロモーター、選手やジムの集合体が独立して存在する三権分立だ。JMDの創設メンバーのひとりで、RISEアマチュア部門の最高責任者・山口元気氏は言う。

「レスリングにフリーとグレコローマンがあるように、立ち技格闘技にも2つのスタイルがあっていい。目先のファンを増やすより、競技化をしっかり進め、大人も子供もアマからプロという道筋を確立させるために、JMDは生まれました」

 運営資金の確保など課題は残っているものの、長い目で見たら、JMDは立ち技格闘技界の救世主になるのではないか。

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