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マッハの強さは、楽しみながらの
ワイルドさにあり。
~DREAM大本命の理由~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2009/07/17 06:00

フランク・トリッグ戦など、数多くの名勝負を見せてきた。日本を代表する選手といえる

フランク・トリッグ戦など、数多くの名勝負を見せてきた。日本を代表する選手といえる

 『DREAMウェルター級GP決勝戦』(7月20日・さいたま)に勝ち残った4名の中で、大本命をあげるとすれば、桜井“マッハ”速人で決まりだろう。唯一の日本人選手という理由で推しているのではない。勢い、経験、技術などを総合的に比較すると、桜井を脅かせる者は皆無なのだ。

 準決勝でぶつかるマリウス・ザロムスキーは元キックボクサーでアクロバチックな闘い方が目を引くものの、寝技に難がある。対抗と目されるアンドレ・ガウヴァオンは寝技のスペシャリストながら、MMAのキャリアはわずか3戦。経験があまりにもなさすぎる。

“野生児”の異名そのままのライフスタイル。

 桜井がプロデビューしたのは'96年。出場メンバーの中では、唯一の10年選手だ。しかし、経験や駆け引きだけで勝負するようなタイプではない。4月のウェルター級GP開幕戦では「マッハさんの技術は古い」とこき下ろした青木真也を四点ポジションからのヒザ蹴りによって27秒でKO。日本総合格闘技史に大きなインパクトを残すとともに、技術に流行り廃りはあっても古さや新しさは関係ないことを証明してみせた。

 なぜ、桜井はベテランといわれる年齢になっても、150km台の速球で押しまくるピッチャーのようなスタイルを実践できるのか。それは、風貌だけではなく“野性児”と呼ばれるのにふさわしいライフスタイルを実践しているからだろう。精神統一を図るために山に篭もって生活する時には、野生の猪を捕まえ、自ら解体して舌鼓を打つ。ここまでワイルドな生活をしている格闘家は、他にいない。

マッハにとっては草刈りもトレーニングになる。

 茨城県の実家にある1300坪もの空き地では、自給自足の生活を計画中。「道場でスパーリングをするだけが練習ではない」というのが桜井の持論なのだ。鎌を使っての草刈りも、意識的に取り入れれば、スナップを強くするための練習にもなると考えているのだ。

 最近は自転車によるロードワークに熱中している。確かにスタミナをつけ、心肺能力を高めるのにペダル漕ぎはうってつけだが、やり始めた一番のきっかけは「楽しそうだから」である。なるほど。何事も楽しくなければ、長続きはしない。マッハ流の強さの奥義は、ワイルドさを楽しんで取り入れるところにあるのかもしれない。

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