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今季のサイ・ヤング賞、最有力のロイ・ハラディ。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2006/06/08 00:00

今季のサイ・ヤング賞、最有力のロイ・ハラディ。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 松井秀喜曰く「メジャーで最も打ちにくい投手」である。最速95マイルを計時するツーシーム、フォーシーム、カッターのファストボール系に、大きく曲がり落ちるナックルカーブと、シャープに落ちるスプリッター。この5つの球種を抜群のコントロールで投げ分けることができるのだから、ブルージェイズのエース29歳のロイ・ハラディを球界ナンバーワン投手として挙げる選手は少なくない。

 実際、3年前には22勝をマークしてサイ・ヤング賞にも輝いている。だが、印象度は薄い。本拠地がカナダということもあるが、それ以上に本人がメディアへの露出を好まないことが影響しているようだ。昨年、前半戦に12勝をマークして、オールスターの先発投手に選ばれた。結果的には、直前の試合で打球を左足首に受けて骨折。夢の球宴を欠場したどころか、シーズンを棒に振ってしまったのだが、そのときもオールスターに関しては「メディアに注目されなくてよかった」と、周囲に漏らしたという。

 いつも汗をかいている。試合の前も後も、クラブハウスでみかけることがほとんどない。今春もキャンプ地に取材にいったのだが、直接話を聞くチャンスはなかった。

 「彼ほど練習する選手はいない。いつだって一番早く球場にきて、一番遅くまでいる。私はAJ(バーネット)をマーリンズ時代から知っているが、キャンプ期間中は集合時間ギリギリにくる選手だったのに、移籍してからは毎朝6時。それは、ロイがその時間にきているからだ」

 そう教えてくれたのはブラッド・アーンズバーグ投手コーチだ。

 周りに与えるポジティブな影響。球団はそこも考慮に入れて、さる3月に、来年までの契約を3年延長(総額4000万ドル)した。

 開幕直後に上腕筋を痛めるアクシデントがあったが、骨折のブランクも感じさせない投球で5月22日現在、5勝1敗、防御率3.04という安定した投球で、早くも昨年取り損なった2度目のサイ・ヤング賞の有力候補に。オフの積極補強でヤンキース、レッドソックスを脅かす存在になってきたブルージェイズ。その大黒柱として、メディアに頻繁に露出せざるを得ない日は確実に近づいている。

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