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アストロズの快進撃を支える大砲エンズバーグ。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2006/05/25 00:00

アストロズの快進撃を支える大砲エンズバーグ。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「屈辱的だった」と、アストロズのモーガン・エンズバーグは端正な顔を少し歪めた。36ホーマー、101打点と大ブレークした昨年、球団創設44年にして初のリーグ優勝に大きく貢献。だが、ワールドシリーズでは4番を任されたものの、18打数2安打に終わり、ホワイトソックスに4タテされる敗因のひとつに挙げられた。彼がそのときの気持ちを吐露したのは、新しいシーズンを目前にした3月末のことだった。

 開幕から15勝30敗と大きく負け越していたチームがリーグ優勝を果たしたのは史上初。ところがエンズバーグはその快挙よりも先に、悔しさを口にした。

 「あのときはひどい風邪をひいていたけど、それを言い訳にはしない。みんなに申し訳ないと思っている。でも、もう振り返っているときじゃない」

 今シーズンはまるで、そのウップンを晴らすような猛打で開けた。4月は球団新記録となる6試合連続を含む9ホーマーに19打点。打率も.329と、過去最高のスタートを切ったのだ。アストロズは戦前、ロジャー・クレメンスが抜け、苦戦を予想されていたが、4月は16勝8敗の好成績を残した。これはエンズバーグの大爆発によるところが大きい。だが、本人はいたって謙虚だ。

 「今年はランス(バークマン)が故障なしで開幕を迎えてくれたので、プレッシャーが全くない。彼の後ろで打てるのは気分がいいよ」

 そのバークマンは元気な援護砲のお陰もあって、打撃3部門でベストテンに名を連ねる見事な復活ぶりをみせている。

 当のエンズバーグは5月に入って、やや調子を落としているが、その真摯なプレーぶりはいささかも変わらない。どんな凡打でも常に全力疾走するのだ。

 「なぜって、打ってしまった打球は自分でコントロールがきかなくなるけど、打ち終わったあとの努力は別。いくらでもコントロールできる。つまり、努力とは全力で走るということなんだ」

 彼はその姿勢を過去15年以上もチームを引っ張ってきたクレイグ・ビジオとジェフ・バグウェルから学んだという。

 「2人はチームの伝統を作りかけていると思う。それを受け継いでいきたい」

 ヒューストンは今年も熱い10月を迎えるに違いない。

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