欧州CL通信BACK NUMBER
欧州CL日本人初対決は内田の圧勝。
シャルケvs.インテル戦に2つの意義。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAP/AFLO
posted2011/04/14 12:45
「これからはリーグ戦とコッパ・イタリアに集中する。内田がシャルケとともに勝利したことは、日本人として嬉しく思う」と敗戦後に語った長友。「(日本のレベルが)上がってきたというか、やれると思うんです。みなさんも、もっとやれるんだっていう記事にしてくれないと(笑)」と報道陣に明るく答えた内田
「これからは僕らが新しい道を作っていく」と長友。
「この結果は受け止めなくてはいけない」としつつ、長友は言葉に力を込めた。
「インテルの一員として、これは僕の大きな経験になると思うので、これから成長は間違いないなと確信しています」
1992年から始まったCLの歴史の中で、ホームで行われた1stレグで敗れながらも、アウェイゲームで逆転勝ちを収めて次のステージへの進出を決めたのは、わずかに2チームしかない。ファンハールが率いていた往年のアヤックスと、決勝トーナメント1回戦でバイエルンを下した今季のインテルだけだ。この試合に敗れたからといって、偉業を成し遂げた長友の名前が色あせることはない。
試合後、インテルの広報が取材を切り上げるようにうながす中、長友は「最後に……」と切り出して、感謝を口にした。
「僕らが日本人対決をこの舞台で出来たのもね、本当にこれまで(先輩の)みなさんが道を作ってくれたから。本当に感謝したい。ただ、これからは、僕らが新しい道を作っていかなきゃいけないので。気合を入れて、頑張ります」
世界最高の右SBマイコンからユニフォームの交換を頼まれた内田。
対する内田は、試合後にはエトーに「良かったよ」と声をかけられ、ハーフタイムには世界最高の右SBの呼び声高いマイコンに「ユニフォームを交換してくれ」と頼まれたという。喜びを隠さなかった内田は、日本人として初めてベスト4に進んだ感想を求められて冗談まじりにこう語っている。
「(日本のレベルが)上がってきたというか、やれると思うんです。みなさんも、もっとやれるんだっていう記事にしてくれないと(笑)。やっぱり、記者の影響力はすごく強いから。そういうのに乗せられて、選手もどんどん海外に出て、ああやれるんじゃん、って思ってくれば日本のレベルも上がる。海外のレベル高いから、海外に行っても無理だろうって書いたら、選手も行けなくなっちゃう。どうか、ご協力を(笑)」
そう言って内田は、すっと記者たちに頭を下げた。決して挑発的にならないように。
日本サッカーのレベルは確実に上がっている。そう気づかせてくれたのがインテルとシャルケによるCL準々決勝だったのだ。
そんな試合に日本代表の両サイドバックがともに先発フル出場。
試合後には健闘をたたえ合い、ユニフォームを交換した。