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マクラーレン、低迷。誤算の連鎖を解き放て。 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2004/06/03 00:00

マクラーレン、低迷。誤算の連鎖を解き放て。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 失速の誤算――。マクラーレン・チームが低迷している。遅い、壊れる、走れない。在籍9年目のD・クルサードはアクセルをあまり踏まず、ハレモノにさわるかのようにマシンを操って完走を目指した。しかし昨年の今ごろM・シューマッハーとシリーズリーダーを争っていた若いK・ライコネンは我慢できず、ついついペースを上げてしまいトラブルが集中して起きている。

 ニューシャシー開発に失敗した誤算。昨年はMP4/18が使いものにならず、一昨年のMP4/17の改良型でつないだ。期待は今年のニューMP4/19に注がれたのだが、開幕と同時にこれまた成功作とは到底いえないシャシーとわかった。マクラーレンのようなビッグチームが“2作”続けて開発に失敗するのは非常に珍しい。後半戦に向けてMP4/19B(仮称)を緊急開発中だが、しかし問題が他にもあるから参ってしまう。

 メルセデスV10エンジンの競争力も著しく低下した。1GP1基レギュレーションに対応した'04年F1エンジンの中で、決勝中にこれまで3件もトラブル発生。しかもその原因は、首をひねりたくなるものばかり。いまどき壊れるはずのないところに不具合を生じている。ためにまず実用回転数を下げざるをえない。走行距離も抑えるほかはない。エンジンにストレスをかけないよう、TCS(トラクション・コントロール)のチューニングもマイルドにせざるをえない。さらにシャシーのセッティング時間が十分にとれない。タイヤ・チョイスも難しくなる。ドライバーは限られた周回でコースを攻めきらなければならない。二重苦、三重苦を抱えながら中団グループで戦う2人。見方を変えれば実によくやっている、と言えないこともない。

 マクラーレン・メルセデスのパートナーシップが組まれてから10年。'95年、最初のシーズンは30ポイントでワースト記録だったが、今季は第5戦終了時でまだ5ポイントしか獲得できていない。現状打破のステップとしては、エンジンの競争力を取り戻してから、MP4/19B改良型にドッキングし、ドライバーに思う存分走り込ませること。6月中旬“北米2連戦”後のテストを踏まえ、後半戦7月フランス&イギリスGP連戦あたりから本格反攻なるか。マクラーレン・ファンはもうすこしの辛抱である。

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