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リーガで最も旬なストライカー、
ジョレンテが覚醒した理由。 

text by

中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

PROFILE

photograph byMutsu Kawamori

posted2011/04/09 08:00

リーガで最も旬なストライカー、ジョレンテが覚醒した理由。<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

1985年生まれのジョレンテは、11歳のときにビルバオの下部組織に加入。2005年にトップデビューを果たした。2010年W杯では、決勝トーナメント1回戦のポルトガル戦に出場

「シャビやイニエスタは僕を絶望させ、嫉妬させるよ」

 カウンター型の攻撃を仕掛けるビルバオにあって、ジョレンテはフェルナンド・トーレス(スペイン代表/チェルシー所属)のように相手最終ライン後方のスペースをスピードで脅かすタイプではない。ペナルティエリア内のポジショニング、スペースの使い方によってゴールを狙う。確かに今季の彼はペナルティエリア内でフリーになっていることが多い。

 もともと屈強な体を持っていたジョレンテは新たな感覚を手にし、成長を遂げている。彼はその成長が未だ終わっていないと言う。

「代表の合宿に行くと、自分がまだまだだって思い知らされるんだ。シャビやイニエスタは僕を絶望させるし、嫉妬させるよ(笑)。ただ、それはポジティブな感情さ。もっと上手くなれるって、思うことができるからね。彼らのテクニックに少しでも近づけば、それだけゴールを奪うチャンスが増える。それは明らかなんだ。全盛期のファン・ニステルローイ(オランダ、イングランド、スペインで得点王に輝いた元オランダ代表。ハンブルガー所属)のような万能のFWになるチャンスだってあるんだ」

 世界のトップクラブが真剣に獲得を狙う力をつけ、それでも未完だと自負しているバスク人ストライカーは、スペイン代表でも着実に重要な存在となりつつある。狭いスペースでのプレーを未だ苦手とするトーレスよりもスペイン代表にフィットするFWとして周囲も認め始めている。

 このまま順調に成長し続ければ、スペインの大黒柱として、来年のEURO2012のピッチに立っているかもしれない――。かなり気の早い予想だが、今のジョレンテにはそう予想させるくらいの勢いがある。

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フェルナンド・ジョレンテ
アスレティック・ビルバオ

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